著者は、複雑な家庭事情から、高校卒業後はやむなく働きだした。その後奮起して20代半ばで勉強を始め、大学入学を果たした経験から、いくつになっても勉強して人生を変えることができるということに、強い可能性を感じている。
かたちある資格取得のための勉強ということでなくても、社会人になってから仕事に関連する勉強を続けていくことは、プロジェクトの成功や昇進にもつながるだろう。専門分野以外を勉強することで、人間性を深めることもできる。大学や大学院に入り直して、違う職業に就くという道だってあるのだ。
年齢が年齢だから……と、大人になってからの勉強に、怖気づく人もいるかもしれない。だが、ご心配には及ばない。脳細胞の働きは20歳前後がピークだという通説が一般的に知られているが、脳科学の研究によると、成人の脳でも新たな細胞が形成されているという。
「頭のよさ」の基準となっているものには、二通りある。計算力や暗記力、集中力などの「流動性知能」と、知識や知恵、経験値や判断力などの経験とともに蓄積される「結晶性知能」だ。前者のピークは20歳前後だが、後者は年齢とともに伸びつづけ、60歳前後でピークを迎えるという。
年齢を重ねるにつれて、たとえば暗記が苦手になってくるとしても、知恵を使った思考力を利用することでカバーできる。人間の脳は、連想や関連づけなど思考力を使うと、物事を記憶に強く残すという性質があるという。つまり、そうした、若者が得意な分野も、異なる方法で勉強することでデメリットをなくせるのである。
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