ミニマリズムを単なる一過性の流行やトレンドだと否定している人はたいてい「所持品を100個以下におさえなければならない」「車や家やテレビを持ってはならない」といった「制約」がある思い込み、シンプルに暮らすなんてできないと言っている。
しかし、ミニマリズムとは、解放と自由を手に入れるための「手段」にすぎず、そこには厳格な縛りやルールは一切ないものだ。車や家を所有し、子どもがいるミニマリストは少なくない。
「ザ・ミニマリスツ」によると、人間生活には大切な4つの分野があるという。それは健康、人間関係、使命(ミッション)そして情熱(パッション)だ。不要なものを削ぎ落して、本当に大切なことにフォーカスし、そのために自分の時間を費やす。そうすれば、真の意味で有意義な生活、幸福な暮らしを手に入れることができるだろう。そのために便利な考え方が、ミニマリズムなのだ。
「何が大切か」は、人それぞれ。本著も、ミニマリストになるための規則やルールではなく、人生を通して幸福を追求するためのアドバイスとしてとらえてほしい。
敬虔なキリスト教徒であるロブ・ベルの小説の中で、シナイ山の頂に登れと神に告げられたモーゼ。神はモーゼに「その山に身を置け」とも付け足した。山に登れば、どうやって下山すればいいのか、また家にやり残してあることはないかと、あれこれ気にしてしまう。しかし、ただその山に身を置くということは、他のことは気にせず、その瞬間を楽しめという意味だ。ひっきりなしに押し寄せる不安やさまざまな考えに時間を奪われず、ただ今を楽しむことが大切だ。
幼い頃よく母親に言われた「さっさとその皿を平らげなさい」という言葉を思い出すと、一度に一つのことに集中することの大切さが再認識できる。集中によって、自分の人生の主導権を握り、コントロールすることができるだろう。
読書や運動の際は、PCやスマホを遠ざける。歯磨きをしながらメールチェックすることをやめる。自分がすべきこと、したいことに全面的に集中しよう。ひとつひとつの瞬間を無駄にせず、全力で味わうことで、人生はたちまち意義のあるものに変わっていくだろう。
3,400冊以上の要約が楽しめる