「今日は一日休みなんだ。何をしようか? どこがおすすめ?」という漠然としたお客様の要望に対し、いくつかアイデアを投げかけたり、地図や資料を提示しながらさりげなく相手の反応を見る。表情の変化に細心の注意を払い、良い反応を示したら丁寧に説明する。
相手の要望を形づくるために、言葉にならないサインも情報としてキャッチすることが大切である。常日頃から自分のアンテナの感度は高めておこう。以前にも宿泊したことがあるお客様なら、オーダー記録のあるデータベースを見ることで、会話の糸口や次の提案のヒントを得るのも良いだろう。
「部屋の中に鍵を忘れたまま、ドアをロックしてしまった」という類いの依頼では、お客様はあわてていたり、恥ずかしさを感じているものである。そのような場合、まずは安心してもらうことが肝要だ。「お客様、今日、その用件で見えたお客様は、あなただけではありませんよ」といった、ウィットやユーモアのある言葉をかければ、相手も安心するはずである。
ほかにも、クレジットカードが使えないなど、お客様が不快な思いをするかもしれない案件については、自分が言われたらどうかを考え、言葉遣いに配慮をする。「このカードは使えません」ではなく、お客様の気持ちをくみ取り、言葉で寄り添うというスタンスが大切だ。
著者がまだ駆け出しの頃、ある場所までのルート案内をする際、タクシーではなく電車のほうが安く渋滞の心配もないので、あらゆるお客様に電車の利用をすすめていたことがあった。
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