幼少期のソフィアは、学校に馴染めない子供だった。先生の話を聞かず、教室の後ろで辞書を読んでいた小学生の彼女を、両親も完全にもてあましていた。どこに行っても「はみ出し者」だったソフィアは、ハイスクールに入ると、アルバイトをして過ごすようになるが、どのアルバイトも長くは続かなかった。
17歳の彼女は、両親の離婚を機に、ハイスクールの卒業を待たず家を出て、ヒッチハイクとゴミあさりをしながら自活を始める。18歳のときには、生活費を稼ぐために万引きを始め、本や高級ワイン、画材など、ありとあらゆるものを盗んでは売りさばいていた。20歳のある日、スーパーで捕まったことを機に「犯罪者」として生きることをやめようと決心した。その後、「ヘルニア」を患ったことが、ソフィアの人生を大きく変えるきっかけになる。
ヘルニアの治療をするには、医療保険に加入する必要があり、ソフィアは美術学校の玄関ロビーで身分証をチェックするという真っ当な仕事に就くことにした。たっぷり空いている時間に、イーベイ(世界最大級のインターネットオークションサイト)出品者からの「友達リクエスト」に目をつけた彼女は、自身もイーベイを通じてヴィンテージ・ストア(古着屋)を始めることを思いつく。彼女にはもともと写真の心得があり、モデルになってくれる友達もいたのだ。
ソフィアは早速ネットショップの開き方を勉強した。店の名前は、お気に入りのシンガーのアルバムにちなんで「ナスティ・ギャル・ヴィンテージ」とした。10代のころから古着が好きだったソフィアにとって、仕入れ=古着あさりは、かつて経験したアルバイトのように退屈な仕事ではなかった。
車1台分のヴィンテージ服を手に入れ、その写真を撮り、商品説明を添えてイーベイに投稿した。自分のオークションをリアルタイムで追いかける過程はソフィアを興奮させ、彼女は毎週オークションを改良していった。遺品整理をする家があれば、その家のクローゼットに突進し、リサイクルショップでは店員が値札をつけたばかりの商品をあさった。
このようにしてたった5ドルで手に入れたシャネルのジャケットが、1500ドルで落札されたこともあった。
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