ブランド・ジーン 繁盛をもたらす遺伝子

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ブランド・ジーン 繁盛をもたらす遺伝子
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ブランド・ジーン 繁盛をもたらす遺伝子
出版社
出版日
2015年06月16日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

「自らの目的を達成するために、意志をもってブランドを利用する、人間でない何か」。本書の冒頭に記されている「ブランド・ジーン」の定義の意味と内容は、読み進めるにしたがって次第にイメージが湧いてくる。ビジネスに、人間を超えた存在の何かが介在するというのは、にわかに言葉通りには受け取れないかもしれない。しかし、著者が挙げるさまざまなビジネス・ケースを読んでいくと、たしかにセオリー通りにいかないのがビジネスであり、人間の思考や判断、人との巡り合わせには、ロジックだけでは説明できない部分が多く存在していることに気づかされる。その、曖昧模糊とした部分を炙り出したのが本書でいう「ブランド・ジーン」という考え方なのではないだろうか。

「こうすればこうなる」というセオリーに頼りすぎることや、製品・サービスばかりを見て提供価値の本質を見失うことの危険性を著者は説いている。「ブランド・ジーン」は何を成し遂げようとしているのか? 今どのブランドをすみかとしているのか? 「ブランド・ジーン」の視点で考えてみると、本当に大切なことが見えてくる。「ブランド・ジーンがやろうとしていることは何か」に意識を向けてみることで、もっと柔軟に流動的に、経営やビジネスチャンスを考えることができるだろう。これまでにない新しいブランド観を提起する1冊だ。

著者

阪本 啓一
経営者、著述家、ブランディング・コンサルタント。大阪大学人間科学部卒。経営コンサルティング会社(株)JOYWOW創業者。経営ビジョンは「ビジネスにJOY+WOW+LOVE and FUNを!」。理論ではなく「人や企業としての『あり方』」に焦点を当てたコンサルティング姿勢を身上とする。自らも起業し経営する現場経験から導く実践的なアドバイスにファンが多い。「大阪をシリコンバレーにする!」ビジョンのもと、中小企業経営者塾「MAIDO-international」を主宰。主な著書に『繁盛したければ、「やらないこと」を決めなさい』(日本実業出版社)、『共感企業』『つまりこういうことだ! ブランドの授業』(日本経済新聞出版社)、訳書に『ブランド・マインドセット』(翔泳社)ほか。

本書の要点

  • 要点
    1
    ビジネスにはブランドの突然の衰退や隆盛、戦略の域を超えた爆発的ヒットなど、セオリーで語れない現象が起こることがある。これは、ブランドには「ブランド・ジーン(=ブランドの遺伝子)」が宿っており、ブランド・ジーンが自身のやりたいことを達成するためにブランドを利用しているためと考えると合点がいく。
  • 要点
    2
    ブランド・ジーンを呼び込み、ブランドを繁栄させるには、ブランドがどんな「価値」を人に与えているのかというブランド・エッセンスに気づくこと、苦労を美徳とするのはやめ、逆境は新しく変われるチャンスととらえることが重要だ。

要約

【必読ポイント!】 「ブランド・ジーン」とは?

人は「ブランド」の意志に動かされている?
©iStock/Rawpixel Ltd

「ブランド」は人間が作りだしているものである、というのがふつうの考え方だろう。しかし著者は、さまざまなビジネスのケースを見てきた経験から、その関係を逆にして考えたほうがビジネスの実態をつかめるのではないか、と思うようになってきた。つまり、「ブランド」自身に何らかの意志があり、その意志が人間を動かしているのではないか、と考えるのである。

そう考えるに至った理由は3つある。1つ目は、アップルが革新的な商品を出せなくなってきたと思ったら、今度はグーグルがその役割を負って台頭してきた例のように、企業の隆盛が移り変わっていく様がまるで「繁盛の遺伝子」が「宿主を変えて」すみかを移しているように見えること。2つ目は、ビジネスは「こうすればこうなる」という経営理論どおりには決していかないと肌で感じてきたこと。3つ目は、売ろうとして戦略的に売ったとは思えないのに、爆発的なヒットを見せているケースを目の当たりにしたこと、である。

今や企業の存続年数は一昔前と比べてどんどん短くなっている。ビジネスを成功させるには、この「ブランドの意志」を理解し、「味方につける」という考え方に立ってみることがカギとなってくるに違いない。

「ブランド」に宿る「ブランド・ジーン」

ブランドに宿って意志的に自分のやりたいことをやる、「人間ではない何か」を、著者は「ブランド・ジーン」(=ブランドの遺伝子)と呼ぶ。ブランド・ジーンは、ブランドを創造し、ブランドを利用する。やりたいことを成し遂げたらブランドから出て行き、そうするとそのブランドは衰退する。

ブランドには、長生きなものもあれば、短命なものもある。「ディズニー」ブランドのように、創業者ウォルト・ディズニー亡き後も長く繁栄して続いているものもあれば、残念ながら

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要約公開日 2015.12.09
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