「ブランド」は人間が作りだしているものである、というのがふつうの考え方だろう。しかし著者は、さまざまなビジネスのケースを見てきた経験から、その関係を逆にして考えたほうがビジネスの実態をつかめるのではないか、と思うようになってきた。つまり、「ブランド」自身に何らかの意志があり、その意志が人間を動かしているのではないか、と考えるのである。
そう考えるに至った理由は3つある。1つ目は、アップルが革新的な商品を出せなくなってきたと思ったら、今度はグーグルがその役割を負って台頭してきた例のように、企業の隆盛が移り変わっていく様がまるで「繁盛の遺伝子」が「宿主を変えて」すみかを移しているように見えること。2つ目は、ビジネスは「こうすればこうなる」という経営理論どおりには決していかないと肌で感じてきたこと。3つ目は、売ろうとして戦略的に売ったとは思えないのに、爆発的なヒットを見せているケースを目の当たりにしたこと、である。
今や企業の存続年数は一昔前と比べてどんどん短くなっている。ビジネスを成功させるには、この「ブランドの意志」を理解し、「味方につける」という考え方に立ってみることがカギとなってくるに違いない。
ブランドに宿って意志的に自分のやりたいことをやる、「人間ではない何か」を、著者は「ブランド・ジーン」(=ブランドの遺伝子)と呼ぶ。ブランド・ジーンは、ブランドを創造し、ブランドを利用する。やりたいことを成し遂げたらブランドから出て行き、そうするとそのブランドは衰退する。
ブランドには、長生きなものもあれば、短命なものもある。「ディズニー」ブランドのように、創業者ウォルト・ディズニー亡き後も長く繁栄して続いているものもあれば、残念ながら
3,400冊以上の要約が楽しめる