ぜひとも成功させたい、という熱意があればこそ、創意や工夫が生まれる。現代では、楽しく仕事をするということが盛んに言われるが、仕事は基本的に地道で厳しいものである。熱意を持って厳しさを乗り越えてはじめて、仕事の充実感、すなわち楽しさを手に入れることができるのだ。
上司に一段高い仕事、もしくは同時にいくつもの仕事を任されることもあるだろう。そんなとき、逃げ出してはいけない。やってみなければできるかできないかもわからないし、たいていの場合、上司は部下の能力より少し高いくらいの水準の仕事を任せ、部下を伸ばそうとしているものだ。
仕事が重なってくるとさばききれないという人もいるが、たいていの場合、段取りを良くすることで解決できる。手際よく仕事を進めるための要素は、順番、時間、充実。著者は、頭の音をひろって、「3J」と呼んでいる。まず、仕事の優先順位と取り組むべき順番を決める。次に、それぞれの仕事にかける時間を決め、厳守する。最後に、指示されただけの仕事でなく、与えられた以上に充実した仕事をする、というわけである。
「3J」の原動力となるのもまた、なんとか成し遂げたいという熱意である。
本来の気質はどうあれ、職場という場に関しては「明るい振る舞い」をすべきだと著者は言う。
上司が仕事を頼みやすく感じる部下は、明るさのある部下だ。明るさには勢いが感じられ、頼めば望む以上の結果を出してくれるのでは、と上司は思いやすくなる。また、「この仕事を積極的に受けとめてくれるだろうか」という上司の一抹の心配を吹き飛ばしてくれるのが、部下の明るさだ。
話しかけやすい部下には仕事が集まり、信頼が集まる。そして結果として、自然と実力も評価も高まってゆくのである。
暗いこと、話し下手であることを性格のせいにせず、会社という舞台の上では明るく振る舞う努力をしていくべきである。
著者は、松下幸之助が松下政経塾を創ったとき、一期生の採用面接をすることになった。採用基準を聞くと、「運の強い人がいい。それに」と続けて「愛嬌のある人を採ってくれや」と言ったという。
人から話しかけられやすい人のところには仕事も、情報も集まってくる。高度情報化の時代には、いかに自分で情報を集めるかでなく、いかに多くの人に情報を持ってきてもらえるようにするかが大切だ。
明るい人、表情のいい人との会話は、話がふくらみ、ときに思いがけないアイデアが生まれることもある。部の雰囲気が暗ければ、ぜひ率先して自分自身が明るくしよう。若い人の明るさや元気を年長者の知恵がサポートするような組織が、仕事の成果を上げていく。
21世紀は超高速超複雑な時代である。多くの会社が同レベルの技術力を持っている中で、発展の成否を分けるのはスピードである。これからの仕事の能力として必要なのは、即断即決即行であり、若いうちから意識してその力量をつけねばならない。
素早い行動をとる部下に、上司は能力と安心を感じる。
3,400冊以上の要約が楽しめる