人の心を動かす伝え方

響く言葉には魂がある
未読
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響く言葉には魂がある
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人の心を動かす伝え方
著者
出版社
出版日
2015年03月29日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.0
革新性
4.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

本書が教えてくれるのは、単なる伝え方のテクニックではない。言葉を発することで自分のマイナスの感情や理性をお掃除し、本当の「想い」を明確な言葉で表現し、そして言葉で相手の心の扉を開く、という言葉のパワーをフル活用した伝え方である。また、自分や相手を深く知るために、「四魂の窓」という方法を使うところに特徴がある。この伝え方を身に付ければ、日常のコミュニケーション、ビジネスにおける正念場、人生における転換期など、ありとあらゆる場面で、本当の「想い」を伝えられるようになるだろう。それによって、人間関係を深め、人生を変えることができる。

さらに本書は、「志」が特別な人だけのものではないことを気づかせてくれる。「志」とは究極の「本当の『想い』」であると言ってもよいだろう。多くの人は、自分は高尚な「志」とは無縁と思っているかもしれないが、今は「志」を持てなくても、問題意識から出発して「志」にまで高めていくこともできるし、問題意識もない場合は、ただ「志」という言葉さえ胸中に宿しておけば、人生の岐路に現れて導いてくれる、と教えてくれる。「志」という言葉そのものが、強いパワーを持っているのだ。

人生をいま以上に楽しく、豊かに、刺激的なものにするためのヒントが詰まっている本書を、すべてのビジネスパーソンに、是非読んでいただきたい。

著者

出口 光
哲学博士(Ph.D)
(社)メキキの会会長
(社)志教育プロジェクト理事長
京都生まれ。慶應義塾大学文学部(実験心理学専攻)卒業後、米国カンザス大学大学院人間発達学部にて、応用行動分析学を学び、日本人として初めて博士号を取得。
慶應義塾大学、明星大学等で教鞭をとり、実業の世界へ。
東証一部(株)タカキュー代表取締役に。人間の科学的理解を社会に役立てるという志を立て、ビジネスの中で人間を学ぶ。
1996年人生を集大成し、良い世の中を創るために志と専門性でつながり天職を全うするための会員組織「メキキの会」を設立。
(社)茶道裏千家淡交会代議員・東京第六西支部副支部長、(財)高久国際奨学財団評議員を務めるほか、発明家として70以上の特許を取得するなど、幅広く活動している。
新聞、雑誌等、メディアにも多数登場。柔道三段。

本書の要点

  • 要点
    1
    パワーのある言葉で本当の「想い」を伝えることで、人生を切り開くことができる。
  • 要点
    2
    マイナスの感情や理性を言葉に出してお掃除することで、本当の「想い」が伝わりやすくなる。
  • 要点
    3
    自分の魂の傾向を知り、本当の「想い」を自覚して明確な言葉で表現する。
  • 要点
    4
    相手の魂の傾向を知り、「聞き耳」をつくるための魔法の言葉で相手の心の扉を開く。

要約

「想い」のこもった言葉が人生を変える

伝えるべきは、魂からうまれた本当の「想い」
Jupiterimages/BananaStock/Thinkstock

私たちの内面は「感情」「理性」「想い」の三つに分けることができる。「感情」と「理性」は揺れ動く心の領域にある。一方、本当の「想い」は魂の領域にあり、一貫性があって不動のものである。

たとえば、火事が発生し、家の中に取り残された子どもを助けようと、お母さんが燃えさかる家に飛び込んだとする。このときのお母さんの感情は「恐ろしい!」、理性は「自分が死んでしまうかもしれないから、やめるべきだ!」であろう。しかし、それでも火の中に飛び込んだお母さんの行動を引き起こしたのは、「自分の命に代えても子どもを助けたい!」という、魂から生まれた本当の「想い」である。

「何かを伝えたい」というとき、その何かとは本当の「想い」である。しかし、感情や理性が先に伝わったために、肝心の本当の「想い」が伝わらなくなることがよくある。また、多くの人は、本当の「想い」と理性を区別しておらず、崇高な本当の「想い」があるのだが、マイナスの理性が働いて、「そんなことできるわけないよ」と考えがちである。しかし、本当の「想い」は誰の中にも必ずあるもので、簡単に変わってしまうものではない。

拙い言葉でも「想い」は伝わる

話し方の本を読んだり、セミナーに通ったりしてノウハウや技術を学んだのに、伝わらなくて困っている人が多いのはなぜだろう。それは多くの場合、最終的には感情を理性で抑えて話す方法だけを教えているからである。理性だけを使って話しても、言葉が届くだけであって、本当の「想い」は届かないのだ。

ある高校の卒業式で、ひとりのお母さんが感謝の言葉をスピーチすることになり、たったひとりの息子に宛てた手紙を読んだ。けっして流暢なスピーチではなかったが、お母さんの愛情が素直にこめられた言葉に、保護者も先生も生徒も、自然と涙を流して聞き入ったのだ。お母さんのスピーチは息子に対する「想い」にあふれていた。そしてそれは、今日卒業を迎える子どもたちの親全員の本当の「想い」でもあった。だから人々に伝わったのである。

伝わる言葉にはパワーがある

「想い」を伝える勇気をもとう。相手に媚びる必要はない。自分の信念を曲げないまま、必ず相手に伝えられる。そして、相手の本当の「想い」を知ろうとしよう。相手が投げたボールを、あなたの心の扉を開いて受け取ろう。

そのためには、言葉にもともとあるパワーを使いこなす必要がある。あなた自身が言葉の背景にある本質を理解し、響く言葉を発することができれば、難しい場面であっても、いや、困難な場面でこそ、自分の本当の「想い」を相手に伝えることができる。そうすれば、人間関係も、あなたを取り巻く環境も、そしてあなた自身も変わる。

自分の感情・理性をお掃除する(心を動かす言葉の法則①)

「心のお掃除」とは
Purestock/Thinkstock

つい感情的な言葉を発してしまい、相手も負けじと感情的に返してきた結果、ドロ沼に陥ったことや、理性を使って論理的に伝えようとしたら、相手が怒ってしまったことはないだろうか。これらは、感情や理性の働きが、本当の「想い」が伝わるじゃまをしている状態である。

感情も理性も、あくまでも一時的なものであり、状況しだいでコロコロ変わるものである。腹が立っていたのに、何かのきっかけで一瞬でスッとおさまることがある。それを意図的に行うこと、それが「心のお掃除」である。

もうひとりの自分に受け止めてもらう

マイナスの感情や理性があることをいさぎよく認め、言葉にして出してしまうこと、これが「心のお掃除」の基本的な方法だ。感情や理性を抑え込むのではなく、出てくるたびにお掃除すればよい。

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要約公開日 2015.08.31
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