ジョコビッチの生まれ変わる食事

あなたの人生を激変させる14日間プログラム
未読
ジョコビッチの生まれ変わる食事
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ジョコビッチの生まれ変わる食事
出版社
三五館
出版日
2015年03月21日
評点
総合
4.0
明瞭性
3.5
革新性
4.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

世界ランキング1位。男子テニス界で圧倒的な強さを誇るノバク・ジョコビッチ選手には、フェデラーとナダルの2強を超えることができない、苦しい時代があった。彼が「壁」を打ち破り、世界の頂点にのぼりつめることができたのは、新しいコーチのおかげでも、画期的なトレーニングメニューを取り入れたからでもない。

その秘密は、「食事」にあった。ジョコビッチは食事から「小麦」を排除し、その結果、2011年に3つのグランドスラム大会制覇、12カ月間で51戦中50勝という記録を達成する快挙を成し遂げたのだ。

なぜ、食事から小麦を排除することが、ジョコビッチを世界最高の選手に生まれ変わらせるきっかけになったのか。本書では、ジョコビッチの体験を通し、その効果やメカニズムが詳しく紹介されている。

「本書はプロのアスリートのためのものではない。(中略)もちろんプロテニス選手だけに役立つ本でもない」とジョコビッチ自身が書いている通り、本書で紹介されている食事法は、スポーツ選手に限らず、健康と食事に興味を持つ人なら誰でも日常生活に取り入れることができる。これにより、ダイエットはもちろん、生活習慣病の予防や、脳のパフォーマンス向上にも一定の効果を期待できるという。

まず2週間、食事からグルテン(小麦に含まれるタンパク質)を排除する。その結果、体に起こる変化を、ぜひあなたも体験してみてほしい。あなたの人生が変わる大きなきっかけになるかもしれない。

ライター画像
髙橋三保子

著者

ノバク・ジョコビッチ
1987年、旧ユーゴスラヴィア(現セルビア)のベオグラードに生まれる。4歳のときにテニスと運命的な出合いを果たし、12歳でドイツにあるニキ・ピリッチアカデミーに留学、2003年にプロ転向。2008年、全豪オープンで20歳8カ月でグランドスラム優勝を果たすものの、しばらく第二集団でもがき苦しむ。2010年にグルテンフリーを開始して以来、2011年に全豪・ウィンブルドン・全米オープンで優勝を達成し、世界ランキング1位に。以後、2012年、2014年と世界1位を維持、絶対的王者として君臨する。
慈善活動にも力を入れており、2007年に「ノバク・ジョコビッチ基金」を設立、戦争で親を失った子どもたちや若手アスリート、芸術家に支援を行う。2011年東日本大震災の際には同業のプロテニス選手たちを集めてマイアミでプロチームとチャリティサッカー試合を実施し、売上金額を日本に寄付した。またユニクロと提携し、Clothes for Smiles を展開中。セルビア語・英語・フランス語・ドイツ語・イタリア語を操るマルチリンガルでもある。現在はモナコ在住。188cm、80kgの右利き。エレナ夫人との間に一児。

本書の要点

  • 要点
    1
    ジョコビッチのムラのあるパフォーマンスの原因は、小麦と乳製品への不耐症があるのに、それらを食べ続けていたことだった。
  • 要点
    2
    食事内容を変えたことで、体重が落ちて肉体は強靭になり、メンタル面もそれまで以上に安定した。
  • 要点
    3
    食物は情報である。人間が摂取するすべての食べ物は、何らかの形で肉体に変化をもたらす。このことを理解すると、食べ方が根本的に変わる。そして、食事により、肉体と心理に最高の結果をもたらすことができるようになる。

要約

ジョコビッチを生まれ変わらせた食事

予告もなしに力を奪う謎の力
DAJ/Thinkstock

2006年、当時19歳だったジョコビッチは、クロアチアオープン決勝ラウンドでリードを奪っていた。しかし、スタジアムの声援はジョコビッチの耳には届かなかった。頭の中では不気味な音が響き、感じられるのは痛みだけだった。鼻はふさがれているように感じられ、胸は苦しく、足にはコンクリートを流し込まれたようだった。コートにジョコビッチは倒れ込み、大会は終わった。

6歳のときから、ジョコビッチはウィンブルドンで優勝するという目標のために人生を捧げ、家族もそのために途方もない犠牲を払ってきた。だが、大舞台に立つたびに倒れてしまう。この状態を「アレルギー」と呼ぶ人もいれば、「喘息」と呼ぶ人もいたし、「単なる調整不足」と切って捨てる人もいた。

ジョコビッチはさまざまな努力をした。毎日朝と午後に練習をし、ウェイトトレーニングをし、一日も欠かすことなくバイクをこぎ、走り込みをした。トレーナーやコーチを替え、呼吸をしやすいように鼻の手術も受けた。メンタル面の調整のために、ヨガやさまざまな薬もためした。そうした努力のために、シーズンごとに少しずつ結果がよくなり、ジョコビッチは世界ランキングトップ10に加わるようになった。が、それでもまだ、ジョコビッチは試合中の体の異変に苦しみ続け、「世界最高の選手」という夢には手が届かなかった。

1万4000キロの遠方より下された驚くべき診断

ジョコビッチにとって、プロ生活で最低の瞬間は、2010年1月27日に訪れたという。全豪オープンで準々決勝まで進んでいたジョコビッチは、試合中またも突然、目に見えない力に襲われて呼吸困難となり、世界ランキングで自分より下位の選手に敗北した。

その瞬間を、1万4000キロ離れた場所から偶然見ていた人物がいる。ジョコビッチの祖国であるセルビア出身の栄養学者、イゴール・セトジェヴィッチ博士だ。ジョコビッチが倒れる姿を自宅のテレビで見ていた彼は、原因は喘息ではないとすぐに見抜いた。ジョコビッチの呼吸困難は、体内の消化システムの不均衡が原因で、腸内で毒物が発生していることにより引き起こされているというのが彼の推測だった。6カ月後に対面した博士は、ジョコビッチの肉体に合った、食事に関する指導要領を作ってくれると言った。

ジョコビッチの人生を一変させた食事とは?
saashi//iStockThinkstock

それから約1年、2011年7月までに、ジョコビッチはまったくの別人になっていた。5キロ軽くなった体は強靭で、それまでで一番の健康体となっていた。メンタル面でも安定してより楽観的になり、脳内の霧が消え去ったように集中力が増した。そして生涯の目標だった2つのゴールに到達した。ウィンブルドン優勝と、世界ランキング1位だ。

ジョコビッチを「そこそこいい選手」から「世界最高の選手」に生まれ変わらせたのは、新しいトレーニングプログラムでも、新しいコーチでも、新しいスタイルのサーブでもなかった。それは、新しい食事だった。

あなたの人生を激変させる14日間

博士のおかしな実験

「このテストをすれば、君の体がどの食べ物に対して過敏になっているかがわかる」

セトジェヴィッチ博士はそう言って、ジョコビッチの左手を腹にあてさせ、右腕を横にまっすぐ伸ばすようにと指示した。博士はジョコビッチの右腕を下に押しながら、力に逆らうように命じた。それが君の体のあるべき反応だと博士は言い、次に、ジョコビッチに一切れのパンを左手に持ち、お腹に近づけるように言った。ジョコビッチが言われた通りにすると、先ほどとは明らかな違いが現れた。パンをお腹に近づけるだけで、ジョコビッチの腕の力が抜け、博士の下向きの力に抵抗できなくなっていたのだ。

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要約公開日 2015.09.08
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