怒りとは、人間にとっては自然な感情で、うれしい、楽しい、悲しいなどと同じものである。しかし、怒りは他の感情と比べると強いエネルギーを持っているため、怒りにまかせた言動をして後悔したり、心がかき乱されるような思いをしてしまったりすることが多い。
怒りの前には「こうしてほしい」などの本来わかってほしい感情の「一次感情」があるはずで、怒りそのものは二次感情といえる。怒りをもつと怒りの感情だけが表に出てしまうため、相手に本来理解してほしい気持ち、一次感情を理解してもらえないままになってしまう。怒りを感じたときは、まず何に対しての怒りなのか、何をわかってほしいのかに目を向け、それを相手に伝えるにはどうしたらいいのかを落ち着いて考えることが大切だ。
怒りの感情をマネジメントするトレーニング、アンガーマネジメントに取り組み、自分の怒りの傾向や程度を知ることで、怒りと上手に付き合えるようになろう。
怒りについて知っておきたいポイントは、①怒りは感じてもいい、②怒ってもかまわない、③怒りは悪い感情ではない、の3つである。大切なのは怒ることと怒る必要のないことを区別することである。
怒りの原因となるのは、その人の「ゆずれない価値観」=「○○であるべき」と思うことであり、自分の期待、理想が裏切られたときやそのとおりにならなかったときに生まれる感情である。だが、自分にとっての「当たり前」と相手にとっての「当たり前」は違う。イライラすることが多い場合は、自分にとっての「べき」を洗い出してみよう。例えば、玄関で脱いだ靴はそろえるべき、メールは24時間以内に返すべき、などは自分にとってだけの「べき」で相手にとってはそうではないかもしれない。時間は守るべき、挨拶は守るべき、など多くの人が抱く「当たり前のべき」もあるが、「べき」は人それぞれ「程度」が違うことも理解すべきだ。自分の「べき」と「程度」はどれくらいなのか、それらは周囲の人と同じなのかをお互いに明確に伝え合うことをすれば、ズレがなくなってくる。
怒ると決めたことには適切な怒り方ができるように、怒らなくていいことには怒らなくて済むようになるためには、「怒る」「怒らない」の境界線(「べき」の許容範囲)を明確にすることが大切だ。
その際に心がけたいことは、まず、境界線を広げる努力をするということ。自分の「べき」の許容範囲が狭いとイライラしがちになるが、ほかの人にはそれぞれの「べき」があるか
どうかを確かめ、自分の「べき」を相手が知っているかどうかを振り返ってみよう。すると、少し許容範囲が広がり、イライラを軽減できる。
次に、境界線を伝える努力をすること。自分の「べき」を相手に伝え、何をどうして欲しいかを具体的に伝えることで、ズレがなくなっていく。
そして、境界線を安定させる努力をすること。自分の機嫌によって、境界線をコロコロ変えると相手を困惑させてしまう。境界線を自分の機嫌によって広くしたり、狭くしたりすることのないようにしたい。
感情をうまく伝えられない人には、怒りを人や何かのせいにする、嫌われたらどうしようと心配しすぎてしまい自分の正直な気持ちを言えない、怒りを溜め込みすぎて突然爆発させてしまう、などの特徴がある。
一方、感情をうまく伝えられる人には5つの法則がある。
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