第一章では、ハードウェア・スタートアップが作るモノがなぜ「売れる」ようになったのか、ITやSNSの普及により、なぜパソコンなどのディスプレイ中心のインターネットからモノへと潮流が変化したのかを解説している。
現在、売れるかどうか未知数だけれども画期的なモノを、少人数でつくれる時代が到来している。その背景には、クラウドファンディングの普及がある。クラウドファンディングとは、個人や団体が遂行したいプロジェクトの企画と必要な金額をインターネット上で提示し、それに共感した人から資金を集めるという方法である。この方法によって、スタートアップは製品の予約注文を確約でき、SNSなどで口コミが広がることによって、効果的なプロモーションができるようになる。
では、クラウドファンディングに「モノをつくる」プロジェクトが多数参加しているのはなぜだろうか。その理由は「非言語」というキーワードで説明することができる。
モノは「デザイン」と「機能」という二つの要素によって、人がほしいと思うかどうかが決まるといっても過言ではない。一目見て、「カッコいい」「便利」などと感じられるモノは、デザインや機能という非言語な要素によってできているため、世界で通用する。一方、性能や仕様といったスペックがいくらよくても、それは人々に「一目でほしい」という感情を喚起させるものにはなり得ないだろう。
大企業は優秀な人材と技術力を誇っているのに、近年、クリエイティブな製品をあまり生み出せていない。その主な理由は、イノベーションのジレンマという言葉の通り、企画時には斬新だった製品の特徴が、製作段階で削がれてしまい、色々な思惑が入ってしまうからだといえる。
そこで最近では、スタートアップの創造性と、大企業の技術力を結び付ける動きが起こっている。
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