最初のユーザー100万人を獲得するために、シャオミの会長兼CEOである雷軍は、何よりも「口コミ」を重視した。現在の消費者は主に口コミによって商品を選ぶからだ。
雷軍は、あらゆるものを相互につなげて新しい価値を生み出す「インターネット思考」という経営戦略の中核に口コミを据え、最高の製品に集中し、消費者の意見を取り入れて製品をスピーディーに改良するというビジョンを体現してきたといえる。
口コミによる情報伝達においては、エンジン、アクセル、駆動系という「鉄の三角形」が求められる。エンジンとは、優れた製品を指す。品質が良くなければいくら販促をしても無意味だ。アクセルは、口コミを加速させるソーシャルメディアを指す。そして駆動系とは、ユーザーとの強い信頼関係に基づいたネットワークである。社員とユーザーが友達同士のように製品について意見を交わし、コミュニケーションをとることで、ニーズを汲み取れるだけでなく、製品の口コミも広がっていく。
この数十年で、消費者が商品を選ぶ基準は、機能重視からブランド重視、体験型消費へと移り変わってきた。シャオミが全力を注ぐのは、その一歩先にある「参加型消費」である。口コミを一気に広めるには、ユーザーに「参加する楽しみ」を味わってもらい、若者の「その場で体験したい」「世界に影響を与えたい」という欲求を満たすことが重要だと考えているのだ。
ユーザーの参加意識を高めるためには、企業は「手が届く」「自分だけのものになる」「共に成長していく」ブランドを、ユーザーと一緒に育てていくことが大切である。シャオミはそのための方法を、3つの戦略と3つの戦術から成る「3と3の法則」と命名した。
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