リーン・スタートアップを駆使する企業

急成長する新規事業の見つけ方・育て方
未読
リーン・スタートアップを駆使する企業
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急成長する新規事業の見つけ方・育て方
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リーン・スタートアップを駆使する企業
出版社
出版日
2015年06月23日
評点
総合
4.0
明瞭性
3.5
革新性
4.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

ベンチャー企業が最小コストで急成長するための経営指南書として、ベストセラーとなった「リーン・スタートアップ」。この手法が、ベンチャー企業の専売特許だと考えていないだろうか? 実は、「リーンな(無駄のない)」経営をすれば、持続可能な新規事業を効率的に立ち上げられる組織をつくれるという手法は、ビジネスモデルの刷新が求められる大企業にこそ、最適なマネジメントスタイルになる。

本書は、破壊的イノベーションを起こした先進企業15社の事例をちりばめながら、リーン・スタートアップの具体的な実践手順や、手順ごとの重要ポイントが理解できる一冊だ。著者たちは、GEやグーグル、アメリカン・エキスプレスなど、2万5000人にのぼる社員やアントレプレナーに向けて、この手法を体験できる研修を実施しているという。起業家精神を持つ人材に、その才能を遺憾なく発揮してもらい、イノベーションを起こす組織をつくるには何が必要なのか。テックスターズのCEOが「新規事業とは、結果に命を懸ける起業家精神を持つ人物によって生み出されるもの」と語るように、こうした人材が自主性と独立性を持って挑戦を継続できる「イノベーション・コロニー」が、成功のカギを握っている。そのエッセンスが凝縮されているのが本書である。

「革新的な新規事業や新サービスを生み出したい」、「新しいサービスをなんとか軌道に乗せたい」。そんな願いを持つ経営者やマネージャー層にとって、本書は非常に有用なバイブルになってくれるはずだ。

ライター画像
松尾美里

著者

トレヴァー・オーエンズ
アントレプレナーであり、イノベーション教育を実施する「リーン・スタートアップ・マシーン」の共同創業者兼CEO。グーグル、セールスフォース、ニューズ・コーポレーション、イントゥイットなどの企業の数千人の社員を対象に研修を実施して五大陸で数百件の新規事業を立ち上げた。

オービー・フェルナンデス
「リーン・スタートアップ・マシーン」の共同創業者。また、ジャベリン・ドットコムのCTOでもある。コンサルティング会社のソートワークス社で上級コンサルタントを務め、複雑なカスタムメイドの大企業向けソフトウェア・プロジェクトを担当した。

本書の要点

  • 要点
    1
    破壊的イノベーションを模索する大企業は、社内にイノベーション・コロニーをつくるとよい。その目的は、数多くのアイデアの市場性を素早く低コストで検討し、成功確率の高いアイデアを市場に登場させることである。
  • 要点
    2
    リーン・スタートアップは、顧客層、顧客のニーズを決定するための科学的な方法である。実験・検証を効果的に行うには、「仮説を立てる」「最も不確実性の高い前提条件を識別する」「実験・検証方法を選択する」「成功の判定基準を設定する」という四つの要件に留意しなくてはならない。

要約

大企業がイノベーションを起こすには?

社内起業家が失敗する理由

現代は、新興ベンチャーにとっては黄金時代である。創業する起業家の数は全世界で3億8000万に上り、その数は飛躍的に増え続けている。この動向に拍車をかけたのは、企業の立ち上げにかかる費用が劇的に安くなったことだ。

一方、すでに守るべき市場がある大企業は、破壊的イノベーションから持続的イノベーションへと焦点が移り、成長のペースが落ちていく。最大の問題点は、サプライヤーや投資家、顧客といった社外勢力が企業の存続を左右するということだ。これにより、大きなチャンスを前に「我が社のブランドに合うだろうか?」と自問せざるを得ず、それがイノベーションの深刻な障壁となっている。

大企業の経営者たちは、イノベーションを重視する企業文化を育てようとして、優秀な社員を社内起業家に抜てきする。しかし、それが往々にして失敗に終わる三つの原因が存在する。

一つは、社内起業家に、高収益の望めるチャンスに飛びつく自由がないため、イノベーションが進まず、成長性も低いことだ。二つ目は、社内起業家が給与所得者であるために、ハイリスク・ハイリターンという強力なインセンティブが働かないことである。そして三つ目は、社内起業家が、プロジェクトを開花させるのに必要な財政基盤を持っていないことである。

本来、社内起業家は、保守的な思考から抜け出せるよう、企業の外にオフィスを構え、何でも自主性を発揮でき、社内での予算獲得競争から独立した存在でなくてはならない。

企業の救世主、リーン・スタートアップ方式
LiudmylaSupynska/iStock/Thinkstock

成功しているスタートアップは、顧客の望みに対応しながら進路を変更し、顧客がお金を支払う気になる商品にたどり着いたのだ。著者たちが開発した「リーン・スタートアップ」方式は、ベンチャーが少ない経費で素早く成長するうえで効果的なテクニックである。市場で生き残れるだけの必要最小限の機能を持った製品を繰り返しつくり、実際に顧客に使ってもらって検証して、ピボット(方向転換)するか、今の戦略を維持するかを決めるというものだ。大企業もこの方式を取り入れることで、変化を起こすことができる。

イノベーション・コロニーをつくる

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要約公開日 2015.10.20
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