楽しさはグーグルの最も重要な部分であり、イノベーションを加速させてきた。グーグルの文化を定義する3つの要素は、ミッション、透明性、発言権である。
グーグルのミッションは「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにする」という簡潔なものだ。顧客や株主、ユーザーにもふれていない。このミッションが個人の仕事に意味を与えるのは、それが事業目標ではなく道徳だからである。このミッションへの信頼があるからこそ、グーグラー(グーグルの社員)は結束し、絶えずイノベーションを起こそうと鼓舞される。また同社は、あらゆる社員に顧客と接する機会を与え、各人が世界に変化を起こしているという実感を得られるように工夫を怠らない。
次に、グーグルは透明性を重視し、あらゆる情報はチーム内で共有できると想定している。例えば、週に一度の全社員ミーティングでは、会社の誰からの、どんなテーマについての質問にも30分かけてトップが回答する。高い透明性の利点は、全社員が様々なグループの状況を理解できるため、資源の浪費や社内の対立を防げることである。このように、オープンを原則とすれば、社員は「自分たちが優れた判断力を持っていると信じてもらえている」と実感でき、会社への貢献度が高まっていく。
最後に、発言権もグーグルの文化の礎石である。会社の経営方針について社員が実際に発言することができるため、人事慣行の多くが社員の発案によって生まれている。
グーグルでは、どんな難題に対しても、グーグルの価値観を支える文化に基づいて結論が下されている。世界中の有能なプロフェッショナル人材が求めている環境は、グーグルのように、ミッション、透明性、発言権が備わった職場なのである。
多くの組織は、最高の人材を採用したうえで、教育、訓練、指導により、さらに人材を鍛え上げるという戦略をとっている。しかし、たいていは、平均的な社員の採用に終わり、トレーニングの設計も難しい。
グーグルは、学校の成績や前職での業績が上位10%以内の人材を雇うため、平均的な企業の2倍以上の費用を採用に投入する。かつて業界最低の給与水準にあったグーグルは、型破りな採用方法を取るしか選択肢がなかった。その方法の1つ目の特徴は、トップレベルの人材は志願者の10%程度にすぎないため、多くの面接を用意するなど採用に時間をかけることである。
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