実力派たちの成長戦略

30代、40代は「ビジョナリー・プロフェッショナル」となれ!
未読
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実力派たちの成長戦略
出版社
出版日
2015年07月06日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.5
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おすすめポイント

会社からの過剰な要求、疲弊していくチーム、そして、思うように成果を出せない自分……。プレイングマネジャーたちに大きなプレッシャーや不安がのしかかる現在、彼らに向けた新しい働き方の指針となるのが本書である。

本書では、経営戦略コンサルタントとして輝かしいキャリアを築いてきた著者が、30代、40代のときに学び、実践する中で身につけてきた成長戦略をあますことなく紹介している。著者によると、激動の時代の中で価値を発揮できる人材は、大局観を持ってビジョンを描き、実現していくプロ、「ビジョナリー・プロフェッショナル」だという。自分の人生の目指す姿を描き、自分の人生に対してリーダーシップを発揮することで、ピンチをチャンスに変え、生きがいを常に感じられる人生を歩むことができる。

この本が取り上げる主なテーマは、ビジョン構想力の鍛え方、論理的思考法と全体思考法を融合した「レゾナンス思考法」の身につけ方、未来の変化の見抜き方、アウトプット志向学習法、創造的ディスカッションの掟、時間管理、心のマネジメントなど、多岐にわたる。

著者の葛藤や成長の軌跡を本書で追体験すれば、オリジナリティに満ちた成長戦略の理解が深まり、たちまち奮起させられるはずだ。本書を読むことで、限られた時間を有意義に使い、一流ビジネスパーソンの高みを目指せるのではないだろうか。

ライター画像
松尾美里

著者

山本 真司
1958年、東京生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)勤務。シカゴ大学経営大学院(ブースビジネススクール)修士。名誉MBA(MBA with honors)取得、ベータ・ガンマ・シグマ(全米成績優秀者協会)会員。1990年にボストン・コンサルティング・グループ東京事務所に転じる。以降、A.T.カーニーマネージング・ディレクター極東アジア共同代表、ベイン・アンド・カンパニー東京事務所代表パートナーなどを経て2009年に独立。現在株式会社山本真司事務所、パッション・アンド・エナジー・パートナーズ株式会社代表取締役、立命館大学経営大学院客員教授、慶応義塾大学健康マネジメント大学院非常勤講師などを務める。
著書に『会社を変える戦略』(講談社)、『儲かる銀行をつくる』(東洋経済新報社)、『40歳からの仕事術』(新潮社)、『35歳からの「脱・頑張り」仕事術』(PHP研究所)、共著に『ビジネスで大事なことはマンチェスター・ユナイテッドが教えてくれる』(広瀬一郎氏との共著、近代セールス社)など多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    30代、40代の人たちは、自立した精神を持ってビジョンを描き、実現していく「ビジョナリー・プロフェッショナル」を目指すことで、前向きな人生を送ることができる。「まだ人気がなく、自分がやりたい分野」に先行投資をすれば、圧倒的な強みを築くことが可能だ。
  • 要点
    2
    ビジョン構想力を鍛えるには、数字と言葉で考える「論理的思考法」とイメージで考える「全体的思考法」の両極端を行ったり来たりする「レゾナンス思考法」と、時代を読む「大局観」を身につけることが重要である。

要約

ミドルの再生は、ビジョナリー・プロフェッショナルへの転換から

変わるか死ぬかの時代

現在30代、40代の会社員は、極めて変動性の高い環境で、絶えざる変化への適応を余儀なくされている。マーケティングの第一人者コトラーによると、「5年先に今のビジネスモデルは通用しない」という。

もはや高度な専門知識や経験値は成功の必要条件にすぎず、実際のビジネスに適用・活用できるかどうかが勝敗を分ける時代となった。こうした状況下でイノベーションを引き起こせるミドルだけが生き残ることができる。まさに「Change or Die(変わるか死ぬか)」である。

ミドル層がビジネスにおいて「かかりやすい代表的な症例」と処方箋をいくつか紹介しよう。

一つ目は「思考習慣病」である。「わが社は何とかなるだろう」という正常性バイアスが働きがちだが、「本当にそうなのか」と自問し、最悪のシナリオを考えなくてはならない。リスクを直視し、立ち向かう覚悟を決めて、リスク回避策を練っておけば、迷いなく仕事に注力することができる。

二つ目は、仕事術に関する本に次々と手を出す「方法論依存症」である。即効性のある手軽な方法論は、抱えている課題の根本解決にはつながらない。凝り固まった考え方を解きほぐし、思考の糸口を与えてくれる本に立ち向かう必要がある。

目指せ! ビジョナリー・プロフェッショナル
©iStock.com/ Violka08

有事のリーダーに求められる役割は、「あるべき姿、ビジョン」を構築し、そこから現状とのギャップを埋めるために、有限な資源をどう配分するかという戦略を立案すること、そして変革マネジメントを行うことである。ミドルこそ、この「ビジョナリー・リーダー」として、自ら全社ビジョンを考え、経営陣に提言し、予算を奪い取ってくるような気概を持つ必要がある。

一方、会社を離れれば、誰もが自分の人生に対してリーダーシップを発揮しなくてはならない。自立した精神を持ってビジョンを描き、実現していく「ビジョナリー・プロフェッショナル」を目指すことで、前向きな人生を送ることができると著者は読者にエールを送る。

狙い目は「まだ人気がなく、自分がやりたい分野」

既存の経営戦略論やビジネススキルは、課題解決のツールに過ぎず、急速な大衆化に見舞われている。もちろん、MBAの1年目のカリキュラムで習う内容は知っておくべきだが、それらは差別化したビジョンを構想するための武器にはならない。そこで、大衆化する「知」を効率的に学習し、差別化できる分野に重点投資することをおすすめする。

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要約公開日 2015.10.28
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