「業界再編時代」のM&A戦略

No.1コンサルタントが導く「勝者の選択」
未読
「業界再編時代」のM&A戦略
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「業界再編時代」のM&A戦略
出版社
出版日
2015年09月20日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.5
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

「M&A」と聞くと、「会社の身売り」という負のイメージを持っている人もいるのではないだろうか? このイメージは今や過去のものとなっている。例えば、多くの中小・中堅企業のオーナー経営者を悩ませている後継者不在の問題に対して、「事業承継型のM&A」は非常に有効な手立てになっている。適切な後継者がいないケースもあれば、廃業すると社員の雇用が失われ、自らも借金を背負うというケースもある。そんなとき、自社の「売り時」を逃さないM&Aによって、「圧倒的高値での売却」と「会社の飛躍的成長」を実現させることができるのだ。

さらには、労働人口の減少など、企業が激動の業界再編時代を生き抜くためにも、M&Aは重要な役割を果たしているという。次世代の経営陣が活躍の場を広げるために、優良企業にグループ入りを果たすなど、業界の行く末を見据えたうえでの戦略的売却、すなわち「業界再編型のM&A」が増加している。売り手側の経営者のメリットは、自社売却後も経営を続けたり、新事業を立ち上げたり、引退後の第二の人生を謳歌したりと、多様な選択肢を得られるという点だ。

著者はM&Aコンサルタントとして、多くの中小・中堅企業の事業承継をサポートしてきた。本書では、その豊富な知見と経験をもとに、中小・中堅企業経営者が取るべき選択肢やM&Aのメリット、再編が活発化する各業界のM&Aのベストタイミング、成功事例などをわかりやすく紹介していく。中小・中堅企業経営者の「勝者の選択」を導く羅針盤として、本書をおすすめしたい。

ライター画像
松尾美里

著者

渡部 恒郎(わたなべ・つねお)
株式会社日本M&Aセンター 業界再編支援室長。大分県別府市生まれ。京都大学経済学部在学中にベンチャー企業の経営に参画。卒業後、2008年日本M&Aセンター入社。業界再編M&Aの第一人者。過去70件を超えるM&Aを成約に導き、中小・中堅企業M&AのNO.1コンサルタントとして業界を牽引している。代表的な成約案件であるトータル・メディカルサービスとメディカルシステムネットワークのTOBは日本の株式市場で過去最高のプレミアムがついた(グループ内再編を除く)。テレビ朝日「報道ステーション」、テレビ東京系列「ワールドビジネスサテライト」・「ガイアの夜明け」、日本経済新聞、朝日新聞、東洋経済、日経MJなどのマスメディアで取り上げられている。

本書の要点

  • 要点
    1
    さまざまな業界で再編が起きている現在、経営者には、絶好のタイミングでM&Aを行い、「圧倒的高値の売却」と「会社の飛躍的成長」を実現するための判断と決断が求められる。
  • 要点
    2
    50代のうちにM&Aを積極的な経営戦略として活用する経営者が増えている。M&Aのメリットは、発展している企業に譲渡することで、社名を変えずに会社が存続できるだけでなく、成長が見込め、社員の雇用が守られる点である。経営者にとって、会社や社員の未来を考えた選択が重要だ。

要約

最終的に大手4社に統合される

業界再編が加速する時代へ

現在の日本では、コンビニやスーパーといった小売をはじめ、ゲーム、飲料メーカー、金融などのさまざまな業界で再編が起きている。業界再編とは、ある業種で強い企業やオーナー経営者が「強者連合」をつくり、新しいビジネスに挑戦することで業界の勢力図を塗り替えていくことである。業界再編は、企業の淘汰や統合をくり返しながら、経済成長の原動力となってきた。

どの業界にも「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」の4つのライフサイクルがある。「成熟期」に入ると業界再編が始まり、最終的には4社に集約されることを歴史は証明している。例えば、1968年の時点で13行あった都市銀行は、金融ビッグバンを経て、大手4行体制へと変動した。とりわけ、銀行と総合商社はそれぞれ、国内のお金の流れとモノの流れを決定づけ、あらゆる業界の再編をリードしてきた。日本企業にとって、同一業界を4社が寡占している状況は、非常に安定した状態だといえる。

業界再編を加速させる要因としては、好景気や規制改革、異業種参入、技術革新などが挙げられる。調剤薬局業界を例にとると、商社やスーパーなど異業種からの参入によって競争が激化し、再編・淘汰の時代に突入している。

再編の兆しが見えたら、絶好のタイミングでM&Aを行い、「圧倒的高値の売却」と「会社の飛躍的成長」を実現するという判断力と決断力が、今後の経営者に求められるだろう。

業界再編が避けられない3つの理由
©iStock.com/shironosov

中小・中堅企業の経営者の間でも、M&Aの動きは加速している。業界再編がすでに避けることのできない時流となった理由は、次の3つである。

1つ目は「人口減少を乗り越えるため」である。企業は「縮小するパイ」を奪い合うのではなく、より緊密に連携し、協力し合うことが求められている。また採用においても、ブランド力や福利厚生で優位に立つ大手企業との連携がいっそう大事になってくる。

2つ目は「成熟業界がジリ貧に陥らないようにするため」だ。国内の消費が見込めない業界では、海外進出などの次なるビジョンを掲げる必要がある。

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要約公開日 2015.11.03
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