現在の日本では、コンビニやスーパーといった小売をはじめ、ゲーム、飲料メーカー、金融などのさまざまな業界で再編が起きている。業界再編とは、ある業種で強い企業やオーナー経営者が「強者連合」をつくり、新しいビジネスに挑戦することで業界の勢力図を塗り替えていくことである。業界再編は、企業の淘汰や統合をくり返しながら、経済成長の原動力となってきた。
どの業界にも「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」の4つのライフサイクルがある。「成熟期」に入ると業界再編が始まり、最終的には4社に集約されることを歴史は証明している。例えば、1968年の時点で13行あった都市銀行は、金融ビッグバンを経て、大手4行体制へと変動した。とりわけ、銀行と総合商社はそれぞれ、国内のお金の流れとモノの流れを決定づけ、あらゆる業界の再編をリードしてきた。日本企業にとって、同一業界を4社が寡占している状況は、非常に安定した状態だといえる。
業界再編を加速させる要因としては、好景気や規制改革、異業種参入、技術革新などが挙げられる。調剤薬局業界を例にとると、商社やスーパーなど異業種からの参入によって競争が激化し、再編・淘汰の時代に突入している。
再編の兆しが見えたら、絶好のタイミングでM&Aを行い、「圧倒的高値の売却」と「会社の飛躍的成長」を実現するという判断力と決断力が、今後の経営者に求められるだろう。
中小・中堅企業の経営者の間でも、M&Aの動きは加速している。業界再編がすでに避けることのできない時流となった理由は、次の3つである。
1つ目は「人口減少を乗り越えるため」である。企業は「縮小するパイ」を奪い合うのではなく、より緊密に連携し、協力し合うことが求められている。また採用においても、ブランド力や福利厚生で優位に立つ大手企業との連携がいっそう大事になってくる。
2つ目は「成熟業界がジリ貧に陥らないようにするため」だ。国内の消費が見込めない業界では、海外進出などの次なるビジョンを掲げる必要がある。
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