マッキンゼーでは、ノートを問題解決のツールとして活用することを徹底的に教え込まれる。ノートの最大の特徴は、「書く」という行為を伴うことである。書くことは、思考を深め、思考を整理し、記憶の定着を促してくれる。
多くの人は、過去の記録のためのノートに終始してしまっている。しかし、ノートは本来、自分以外の人に知識や知恵を伝えていく「アウトプット」のためにある。今後どうするべきかという未来のビジョンを、根拠のある仮説に基づいてノートに書き出すことで、良い未来をつくることができるのだ。
問題解決のためにノートを使ってアウトプットを生み出すのが、マッキンゼー流ノート術である。
このノート術で重要なのは、次の3つの心構えである。1つ目は「仮説を考えながらノートを取る」ことだ。真の問題(イシュー)の在りかを突きとめるには、本質的な仮説を意識することが求められる。2つ目は「アウトプット志向」である。自分以外の第三者に対するプレゼンテーションや問いかけ、報告などのアウトプットを意識することが必要だ。3つ目は、「問題解決までのストーリーラインが描かれた現在進行形のノートを書く」ことである。
著者が在籍していた当時のマッキンゼーでは、問題解決の流れに沿って、次の3つのノートが使い分けられていた。
1つ目は、情報収集や現場でのヒアリング、インタビューで使用する「ケンブリッジノート」である。リング綴じで7ミリ罫のノートで、ヒアリングした内容をひたすら書き込めるのが特徴だ。ひたすら書く理由は、ヒアリング段階でポイントを絞って自分の思考の枠だけで物事を見るのを防ぐためである。大事なヒントは関係者の「何気ない一言」の中に含まれているものだ。
2つ目は「方眼ノート」である。
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