イーロン・マスク 未来を創る男

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イーロン・マスク 未来を創る男
出版社
出版日
2015年09月15日
評点
総合
4.3
明瞭性
4.5
革新性
4.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

現在、全世界から最も注目を浴びている経営者は、イーロン・マスクだと言っても過言ではない。凄まじい頭脳と溢れ出る情熱、使命感を持って、ロケットや電気自動車のイノベーションを実現してきた男、イーロン・マスク公認の伝記が登場した。マスクはどんな半生を駆け抜けてきたのだろうか?

本書では、いじめにあっていた少年時代、祖国、南アフリカからの逃避、駆け出しの経営者時代、ペイパル創業を経てスペースX、テスラモーターズ、ソーラーシティといった企業を軌道に乗せるまでのマスクの悪戦苦闘ぶりが、鮮やかに描き出されている。

「人類の火星移住を実現させる」という壮大な夢に向かって、次々と前代未聞の目標を打ち立て、果敢に挑んでいく姿は圧巻である。例えばマスクは、1基の打ち上げに240億円もかかるロケットを宇宙に飛ばそうとする。粘り強い取り組みの結果、直近の目標である国際宇宙ステーションへの物資補給に成功した。もう一つの挑戦は、電気自動車「ロードスター」の開発である。一時は経営破綻寸前と言われたが、何とか息を吹き返し、快進撃を見せている。マスクは、幾多の失敗にも屈せず、「大風呂敷を広げているだけ」という周囲の非難をものともしない。

読みごたえのある一冊であるが、マスクの人生を深く掘り下げ、その舞台裏を明るみに出す著者の魔術にかかったかのように、本書の世界観に引き込まれ、あっという間に本書を読み終えてしまうだろう。テクノロジーの限界に立ち向かう稀代の経営者の軌跡をぜひ堪能してほしい。

ライター画像
松尾美里

著者

アシュリー・バンス
テクノロジー分野の第一線で活躍するライター。『ニューヨーク・タイムズ』紙で、シリコンバレーやテクノロジーに関する取材を数年にわたって手がけたのち、週刊ビジネス誌『ブルームバーグ・ビジネスウィーク』に活動の場を移し、サイバースパイ活動からDNAシークエンシング(塩基配列決定)、宇宙探査に至るまで、科学技術に関する幅広い分野で特集記事を担当している。

本書の要点

  • 要点
    1
    イーロン・マスクは「火星に人類を送り込み、人類を救う」というミッションを掲げ、スペースX、テスラモーターズ、ソーラーシティを軌道に乗せて、新たな挑戦を続けている。
  • 要点
    2
    スペースXは、3度の打ち上げ失敗に屈せず、人工衛星や国際宇宙ステーションへの補給物資を安定して宇宙に運べるようになるまで成長を遂げた。
  • 要点
    3
    テスラモーターズは、100%電気燃料の自動車を開発し、先進性や効率性を追求した「モデルS」によって、自動車業界に激震を与えた。

要約

イーロン・マスクの世界観

救世主か大ぼら吹きか

シリコンバレーのハリウッド化が進んでいるという。斬新なアイデアを実現させてきたIT業界は、いつしか消費者を楽しませ、単純なアプリや広告を垂れ流す方向に変わってしまった。そんな中、シリコンバレー本来の精神を受け継ぎ、巨大マシンの改良に注力し、真のブレイクスルーを目指す男がいる。イーロン・マスクである。

大学卒業後に初めて起業したZip2で大金を手にしたマスクは、ほぼ全額をX.com(後のペイパル)につぎこみ、イーベイの買収によって巨額の富を手にした。マスクはこれをスペースX、テスラモーターズ、太陽光発電のソーラーシティの事業に投じるという一か八かの賭けに出た。

マスクが掲げるのは「火星に人類を送り込み、人類を救う」というミッションだ。型破りなアイデアから製品をつくり出す発明家であり、カリスマ経営者であり、実業家でもあるマスク。彼には、社会的への使命感に満ちた確たる世界観があるのだ。

成功への第一歩を踏み出す

南アフリカで過ごした少年時代と、シリコンバレーへの憧れ
©iStock.com/zimmytws

マスクは1971年、南アフリカの首都プレトリアに生まれた。彼は子どもの頃からSF的な世界への憧れを持ち、10歳からコンピュータに没頭して、12歳ですでにビデオゲームを開発していた。とにかく好奇心旺盛で、1日10時間も本にかじりつくくらいの読書好きな子どもだった。爆弾やロケットをつくろうとしたこともあれば、弟のキンバルとともにプレトリアとヨハネスブルグを往復する、危険と隣り合わせの旅に出るなど、冒険好きな一面もあった。ところがマスクは、中学でも高校でもクラスでは浮いた存在で、深刻ないじめにより何度か転校を経験していたという。

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要約公開日 2015.11.19
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