2013年、東大発の二足歩行ロボットを開発するベンチャー企業「シャフト」がグーグルに売却されたことが話題となった。加藤崇氏は、その交渉をまとめた人物である。もともと都市銀行に就職した加藤氏だったが、融資先のパン屋の奥さんに泣かれたことを契機に、「魂でやる仕事がしたい」という想いを募らせ、転職。
MBA取得後、いくつかのベンチャー企業の経営に携わったのち、独立。そこで当時東大でロボットの研究をしていた二人と出会い、彼らの研究を事業化することに取り組み始める。加藤氏が彼らと仕事をしようと思ったのは、まさに「魂で」ロボットの研究に向かい合い、熱い情熱をもって人生を捧げてきたことを肌で感じ取ったからだった。
実際、二人が研究していたロボットの技術は非常に優れたものだった。そこで国内のベンチャーキャピタルや企業に出資をお願いして回ったが、理解はなかなか得られない。DARPA(アメリカ国防総省)のファンディングの審査に通ったことが何よりその技術の高さを物語っているのだが、それでも出資しようというところは日本では現れなかった。限界を感じアメリカのベンチャーキャピタルに声をかけた結果、Androidをつくった人物で、ベンチャー企業に理解の深いアンディ・ルービンと出会い、グーグルとの交渉が成立した。
シャフトがグーグルに買われた次の月に、DARPAのロボティクス・チャレンジ・トライアルズで、NASAやMITを抑えて優勝した。それは、断トツの技術力を立証することになった。
大切なことは、リスクを取ってクリエイトすることだ。大企業で働く人がリスクを取らなくなったら、希望がない。自分にしかできないことをやる勇気をもつ。恥をかいてもいい。最後の勝敗を決めるのは、ロジックではなくカレッジ、勇気だと、加藤氏は情熱的に語った。
株式会社ユーグレナ代表取締役社長、出雲充氏。2005年にミドリムシを屋外で大量培養することに成功した。動物と植物の両方の特徴を併せ持つ藻類であるミドリムシは、栄養が豊富で世界の栄養不足を補うことが期待されるだけでなく、新しいバイオ燃料としても注目されている。株式会社ユーグレナは、そのミドリムシを使った健康食品やバイオ燃料の開発を行う、ベンチャー企業である。
大学時代、NGOの活動でバングラデシュを訪れた出雲氏は、現地の人々の食生活について、あることに気づく。
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