先進国では、社会の成熟化とともに、常にイノベーションを生み出し続けなければならない状況になっている。ホワイトカラーの労働者は、新興国の安く優秀な労働力との競争に直面している。また、人工知能の発達によって、人間がこれまで行ってきた仕事の多くが、機械に代替されるという予測もある。
このような状況で生き残るには、オリジナルの価値をつくりだせる人材になることが必要であり、デザイン思考による創造的問題解決力がますます重要になるといえる。
21世紀に生きる人材がグローバルに活躍するためのスキルとして、コミュニケーション、ICTとデジタルリテラシー、意思決定と学習、コラボレーション、創造力とイノベーション、クリティカル思考と問題解決が、教育先進国での「21世紀型スキル」として定義されている。創造力とイノベーションは、とりわけ大事な思考スキルとして取り上げられている。
このような流れから、ハーバードやMITなど一流のMBAにおいても、デザインスクールの学びを取り入れたプログラムが導入されるようになった。欧米のデザインスクールでは、「デザイン、ビジネス、エンジニアリング」の3つの要素が協働することでイノベーションが生まれると考えられている。
現在のビジネスにおいては、ロジカルシンキングやクリティカルシンキングなど、論理が優位となる「左脳モード」が支配しているが、創造力を発揮するためには「右脳モード」も不可欠である。デザインスクールで学ぶ思考スタイルは、左脳と右脳の両方を活用したハイブリッドな思考だ。両方をバランスよく使いながら、自分ならではのユニークな切り口で、「創造(=知的生産)」を日々実践することがデザイン思考の肝となる。
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