冒頭記した通り、本書は物語(ケース)を主軸に置きながらマネジメントのエッセンスが紹介される形式となっているが、ハイライトではそのエッセンスを一部抽出してご紹介する形式をとりたい。
本章では最少単位であるチームのマネジメント手法が解説されている。入社以来、初めてチームリーダーを任される深川さんが、性格の異なる3人の部下を持ち、そのチームマネジメントに思い悩むストーリーが主軸だ。
ここでは大きく8つのエッセンスが解説されているが、ここでは、そのひとつ「コーチングスキル」を紹介しよう。
ここでは4つのタイプのメンバーに対して、チームリーダーがどのように接するべきかが解説されている。順を追って見てみよう。
1.なかなか自信がもてないメンバーへのコーチングスキル
リーダーは自信を失ったメンバーに対し、どのように接するべきか。いきなり叱責から入るのはコーチングの観点からはあまり望ましくない。この場合リーダーは、なぜメンバーが自信を失ってしまったのかの根本原因を探り、その克服方法を本人に気付いて実践してもらうことが肝要である。リーダーは具体的な方法論を示すのではなく、あくまでもメンバーが自力で解決可能な方法を示すことが役割だ。
2.ミスを繰り返してしまうメンバーへのコーチングスキル
ここでも単純に叱責するのではなく、リーダーはそのミスの根本原因を見極める必要がある。「このように考えれば答えが出るのではないか」というメンバー自身が成功する感覚を持たせながらも、自力で解決させるコーチング方法が望ましい。
3.積極性がないメンバーへのコーチングスキル
積極性がないこと自体を責めるのではなく、リーダーはメンバーに対して、必要な人材であることをしっかりと伝え、ちゃんとできている部分があることを認識してもらうのが第一歩である。メンバーの自己肯定感を醸成するのがリーダーの役割だ。
4.反抗的なメンバーへのコーチングスキル
このような場合、リーダーがメンバーに普段通り接していても、メンバーはその言葉をネガティブに捉えがちとなっているケースが多い。そんなときは、メンバーが明らかに忙しそうなときや不機嫌そうなときを外し、リーダーはできるだけにこやかに落ち着いて接する、ねぎらいの言葉や感謝の言葉をかけるなど、きめ細やかな対応をすることが望ましい。
以上が、本書で解説されているコーチングの基本だ。
マネジメントといえば、中間管理職のイメージを持つ人が多いと思うが、本章はそのミドルマネージャー(部や課の長)の役割が対象だ。ここでは、新しく10名の部署のマネージャーを任された山下さんが主役だ。山下さん以外の部署メンバーは、みな1年以上その部署で働いているため、経験も豊富で山下さんからの細かな指示は必要なさそうだ。山下さんは経営層から部署の売上前年比15%増のミッションを与えられている。早速、山下さんは売上15%増を達成する自分のアイデアを部署メンバーに共有するのだが、部署メンバーから早々に難色を示される、というよくある光景から物語はスタートする。
3,400冊以上の要約が楽しめる