プログラマーは同じことの繰り返しを嫌う。プログラミングの世界には、DRY原則(Don’t Repeat Yourself)という言葉があるほどだ。そのためか、トレーニングを重ねなければいけないスポーツは、プログラマーにはあまり人気のない趣味らしい。
この考え方を仕事に応用すると、仕事の上で典型的なことを再利用可能な状態にして集めておくこと(=ライブラリ)という発想につながる。
仕事における、同じことの繰り返しの典型的なものは、メールである。ビジネスメールを送るときに必ず入れる、「お世話になっております」や、「よろしくお願いいたします」といった内容は、毎度打ち込むのではなく、あらかじめ署名にあいさつ文を書き込んでおくという手がある。しかしそれでは応用のきかないときもあるため、著者がおすすめするのは、かな漢字変換のIMEの辞書登録を使うというやり方だ。ぶ→不躾なメールで失礼いたしました/さ→「ご査収いただければ幸甚にございます、といったように登録しておけば、最低限のタイピングの手間でメールができあがる。
プログラミングの鉄則の一つ、KISS原則とは、「Keep It Simple, Stupid!」の頭文字をとった言葉だ。意味合いとしては、「シンプルにしておけ、この間抜け!」といったようなことになる。
プログラムの内容は、常にシンプルに保たれ、誰がいつ見ても理解できるようにしておくことが望ましい。それが、KISSの原則である。
こうした考えは、プログラミング以外にも応用できる。企画書やプレゼン資料などにこれでもかと情報を詰め込む人がいるが、それではかえってわかりにくくなる。企画書や資料はシンプルなメッセージを伝え、複雑なデータや図表を見せる必要があるのなら、最後につけておけばいい。根拠となる資料が必要なら、URLや検索キーワードを書いておくだけでも事足りるのだ。ビジネス文章は長すぎると要点を見失ってしまう。
著者は、20代の頃から、プレゼン資料は当日の朝に書くということを実践しているという。アイデアの評価は、タイミングによって大きく変わる。最先端の話題をフォローしているかいないかで、プレゼン資料の価値は異なってきてしまうのだ。
3,400冊以上の要約が楽しめる