ヤフー、インテリジェンス、日本郵便、アサヒビール、電通北海道、美瑛町役場、6つの組織の人間が集まり、北海道の美瑛町の課題解決に取り組むという、前代未聞の研修を思いついたのは、ヤフーの人事部長、本間浩輔だ。彼は生粋の人事担当ではなく、コンサルタント、起業などの豊富なビジネス経験を経て、ヤフーで人材開発を担当するようになった。
現在のヤフーは、この10年ですっかり大企業になり、「ネット界のNHK」になってしまった、と本間は語っている。もう一度、ダイバーシティを取り戻し、イノベーションを起こせるような人材を育てなければならないという意識は強い。また、本間は、外部に委託する研修に限界を感じている。一人ひとりの気づきこそが真の学びだといえるが、外部委託ではそこまでのきめ細やかさは望めない。そこで、手作りの研修をしようと思い立ったという。
研修の監修を東京大学准教授の中原淳に依頼し、ヤフーの研修担当マネジャーでもある池田潤も加わり、最終的に研修の大枠が定まった。
この研修の特徴の一つは、「異業種コラボレーション」である。先に述べた6つの組織は、社風も業態も幅広く異なっている。参加メンバーの人数も、20代前半から40代前半までバラバラで、営業担当や技術者もいれば、研修へのやる気がある人もない人もいる。これには、加速していくダイバーシティを身をもって体験し、自分と合わない人間とも議論を重ねてアウトプットを出していくということを経験してもらうという意図がある。
また、研修は半年の期間限定であり、参加メンバーが美瑛町を訪れる日は12日しかない。この高いハードルにも、やはり意味があった。
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