ランディ・ガードナーは1965年に、11日のあいだ一睡もせずに過ごした。2、3日経つと集中力が低下し、9日も経つと100から逆に数えるのに失敗した。
様々な科学的実験の結果、睡眠不足になると機嫌が悪くなり、幻覚や妄想、記憶力や集中力の低下、決断力の欠如といった現象が起き、それらの作用はすべて脳によって制御されているものだと判明している。
被験者の5本の指に番号を振り、一定の順番にそってボタンを押させ、1分間で何回タッピングできるか測る、という実験がある。12時間後のテストにおいて、睡眠をとった場合では一睡もしなかった場合と比較し、タッピングの速度が格段に速くなった。睡眠中は他の動作という干渉がないだけではなく、もっと重要なことが起こっているのではないか。
睡眠不足だと五感をつかさどる脳の領域の反応が鈍るため、五感によって通達される情報への注意力が低下する。さらに、前述の脳の領域に含まれる「前頭前皮質」で処理されるはずの独創的なアイディアをひらめく回数、すなわち水平思考の力が減少する。
脳内でそのようなアンバランスが生じると、人間は変則的な決断をするようになる。しかも睡眠不足時では懲罰系と報酬系の作用のバランスも乱れる。このため、警戒心が不足してしまう傾向も見られる。
睡眠不足では、否定的な感情を取り除く作用のある「前頭葉」も正常に働かなくなる。
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