要点解説 90分でわかる! ビジネスマンのための「世界の宗教」超入門

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出版社
東洋経済新報社
出版日
2013年10月08日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

グローバル化が進む中、何らかの宗教をもつ人とビジネスパートナーになることも増えていくだろう。日本では、年中行事の中にさまざまな宗教のエッセンスがあるものの、一般的には日常的に何らかの宗教行動をしたり、宗教の戒律を守って生活したりしている人は、多数派とはいえない。

本書は、世界の主な宗教についてその成り立ち、教派、組織、信条、祭礼や祭日、食習慣や生活習慣などを概要としてまとめたものである。日本人として知っておくべき日本の宗教についてももちろん触れている。教養として宗教のことを知りたい人や、断片的に知識はあるがもっと体系的に知りたい人、また、信仰をもつ相手とコミュニケーションをとるうえで知っておくべきタブーや生活習慣の違いを知りたい人にもお薦めの一冊だ。まさに入門編というべき基本事項が網羅されているので、まずは本書で全体像を把握し、興味をもった部分についてさらに学びを深めるのもよいだろう。

異なるバックグラウンドをもつ人と交流するとき、外国語を流暢に話そうと研鑽することも大事だが、その文化や慣習を知ることも相手を深く理解する方法のひとつである。相手の信仰する宗教の基本的な教えや、歴史的経緯などを知っていれば、相手にとって大切なことや、逆に不快に思うことについても想像力が働くだろう。同様に、自国の文化としての宗教知識も身につけておいて損はない。相手のことを知り、自国のことを伝えようと勉強するその姿勢が、グローバルなコミュニケーションをより円滑にするに違いない。

著者

井上 順孝(いのうえ のぶたか)
國學院大学神道文化学部教授。1971年東京大学文学部卒業、1974年東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退、博士(宗教学)。専門は宗教社会学。
1974年東京大学文学部助手、1982年國學院大学日本文化研究所講師、同教授を経て、2002年より現職。1998年(公財)国際宗教研究所・宗教情報リサーチセンター長、2011年日本宗教学会会長。
著書に『図解雑学宗教 最新版』(ナツメ社)、『本当にわかる宗教学』(日本実業出版社)、『神道入門―日本人にとって神とは何か』(平凡社)など多数。編著者に『世界宗教百科事典』(丸善出版)、『映画で学ぶ現代宗教』『現代宗教事典』(弘文堂)、『世界の宗教101物語』(新書館)など多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    世界の人々の中で、宗教は生活にも政治にも深いかかわりをもつことが多い。
  • 要点
    2
    これからのグローバル社会を生きていくために、自国および他国の宗教や慣習について理解を深めておくことは大切だ。
  • 要点
    3
    本書の各章では、日本の宗教の概要をはじめとして、ユダヤ教、キリスト教、イスラム、インドの宗教文化、上座仏教、東アジアの宗教について、それぞれ成り立ちや歴史、教派の違い、教え、生活習慣、タブーなどについて、基本的な事項がまとめられている。

要約

【必読ポイント!】 日本人として、宗教を知る

世界の人々の身近にある宗教

日本での暮らしの中で、宗教について改めて考える機会は少ないかもしれないが、世界的に見ると多くの人が何らかの信仰を持ち、日常生活と宗教、政治と宗教が深く結びついていることは決して珍しくない。グローバル化が進む昨今、相手の文化や価値観を理解するにあたり、その背景となる信仰の歴史や特徴について知っておくことは、コミュニケーションの一助となるだろう。

日本人の生活に根付く宗教儀礼
©iStock/yuriz

世界の宗教について見ていく前に、日本の宗教について概要をおさえておこう。日本人は「無宗教」と自覚している人が多いかもしれないが、寺の檀家になっている人や、神社に参拝に行く人の数は非常に多い。実際に信仰をもち宗教行動をしている人は全体の2~3割と考えられるが、日本社会には慣例としての宗教的儀礼が根付いているといえる。初詣や節分といった年中行事、七五三などの人生儀礼、地鎮祭などの生業儀礼、お盆やお彼岸といった先祖供養なども、生活の一部として自然に行われている。

日本の神道と仏教

日本の宗教で人口が多いのは、神道と仏教だ。神道では宗教法人である神社は約8万社あり、天照大神、八幡神、稲荷神などの「祭神」と呼ばれる神が祀られている。神社は地域とのつながりも強く、神社のある土地の信者を氏子と呼ぶ。神社の祭は大切なものとされ、氏子を中心に運営される。また、定期的に神社の社殿を新しく造りかえることを遷宮といい、伊勢神宮の20年に1度の式年遷宮などが有名である。

仏教には現在主に13の宗派があるが、大別すると奈良仏教(法相宗、華厳宗、律宗)、密教系(天台宗、真言宗)、浄土系(浄土宗、浄土真宗、時宗、融通念仏宗)、日蓮系(日蓮宗)、禅系(臨済宗、曹洞宗、黄檗宗)と分けられる。最も檀家が多いのは浄土系である。それぞれの宗派によって本尊や教えが違っており、特徴がある。江戸時代の檀家制度(仏教系の寺院の檀家でなければ戸籍が認められない)の名残により、現在も葬儀や年忌法要は仏教式で行うという家がほとんどだ。

神社と寺院は、江戸時代までは神仏習合状態だったが、明治時代になると神仏分離が進んだ。僧侶の肉食妻帯が許可されたり、神社は「国家の宗祀」とされたりしたのもこの頃である。第二次世界大戦に敗戦すると、神社は特別な地位を失う。

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要約公開日 2016.01.15
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