店長や経営者が、スタッフに「満足して働いてもらいたい」と考えているのなら、絶対にステージ1を最初に解決しておかなければならない。「快適な労働環境」をおざなりにして、他の何を改善しようとしてもそれはただのまやかしに過ぎない。
飲食店は「きつい、危険、汚い」の「3K」職場とよく言われる。しかしこのような労働環境を我慢させると、間違いなくそれが原因で退職するスタッフが現れる。我慢して働いてもらうには時給を相当高めに設定しなければならないが、それでも辞められてしまい、結局また高い時給で募集をすることになる。このコストを「働く環境を快適にするための整備コスト」に振り替えれば退職者を減らすことができ、経費の削減につながる。
目指す店舗ビジョンに共感できる応募者だけを採用するようにすると、スタッフレベルも維持でき、採用を繰り返すことがなくなる。店長や経営者は育成を途中であきらめることなく「辞めてもいいようなスタッフはいない」と断言できるくらいスタッフを大切にしよう。
新人の初日の最初の1時間は店長がオリエンテーションを実施する。これにより働くことへのモチベーションと緊張感、さらに責任感を高めることができる。その時に必ず「人間関係で困ったら、私に相談しなさい」と伝え、3日目の新人には最後の1時間は面談する時間を設け「これからも一緒に仕事ができますか?」と問いかける。最初の3日間は新人にとって非常にデリケートだが店長自らが新人のスタートをサポートすることで、不安の解消に大いに役立ち、早期に辞めることを防げる。
店長や経営者は「ありがとう」を一番たくさん言える人になろう。「ありがとう」には「認める」という要素が含まれており、人に対して使うと「ほめられる」に近い感覚で伝わる。
スタッフの誕生日などのイベントを全員でお祝いすることはチーム作りの土台になる。この目的は孤独を感じているスタッフに自分もチームの一員であるということを思い出させることだ。
世の中の多くの店舗が、このステージにいる。時給、金銭的報酬、報奨で仕事の満足を感じてもらおうとする段階だ。いくら時給が高くても、人間関係がうまくいかないと居心地が悪いと感じスタッフは辞めてしまう。店長はこのような状態をいち早く察知し、解決しなければならない。そのためのスキルが、「承認」である。
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