ドラッカーは、マネジメントは「管理」ではなく「機関(システム)」だと定義している。ドラッカーによると「マネジメントは、人類の生活を向上させられるとの信念、経済の発展が福祉と正義を実現するための強力な原動力になりうるとの信念の具現」であるという。持続可能なマネジメントは、この信念を何とかして実現可能にするために、資源をインプットとして、社会の発展をアウトプットとして生み出す、つまり成果を上げる仕組みである。独善と自己満足と怠惰を回避するマネジメントの改善のみが、社会を進歩させるとドラッカーは説いている。
マネジメントには、事業のマネジメント、経営管理者のマネジメント、人と仕事のマネジメントという3つの機能がある。これらが整合性を持って運営されなければ、マネジメントは立ちいかなくなってしまう。この3つの機能について紹介していく。
まず、第一の機能「事業のマネジメント」とは、目標をつくり、環境変化に合わせて目標達成のための施策を調整していくことである。
次に、第二の機能である「経営管理者のマネジメント」とは、トップが現場に権限を委譲し、現場の経営管理者を育てていくことで、意味のあるシステムとしてアウトプットを出せるようにすることである。経営管理者は、トップだけでなく、現場監督者など、マネジメントの改善に関わる全ての人があてはまる。従業員一人一人が、大きなシステムにおける自分の役割を確認することで、方向性が統一され、効果的な結果に結びつけることができるのだ。
さらに、第三の機能である「人と仕事のマネジメント」とは、人的資源を「個性や市民性を持つ存在」として認め、正しい評価でやる気にさせることである。マネジメントする側は、従業員が感情を持つ人間であるという基本原則を忘れてはならない。
これらの機能については、常に「現在」と「未来」という2つの時間軸で考えることが重要だ。未来の目標に近づけるために、現在とのギャップを埋める努力をするのである。
同時に、この3つの機能は三位一体である。
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