健康を決めるのは日々の「選択」である、と著者は言う。小さな正しい選択を積み重ね、好循環をつくり出すことで、もっと元気になれるし、寿命も延ばせるのだ。
著者自身の体験は、それを証明して余りある。著者は16歳のとき、左目のがんを告知され、さらには新生の突然変異である遺伝性疾患を患っていると診断された。この病はがん抑制遺伝子を機能させなくするので、がん細胞は体中に増殖してしまう。著者は絶望の果てに、1日でも長く生きるために自分に何ができるのかを徹底的に学ぶという決意をした。健康で長生きするには、どのように食べ、動き、眠るのがよいのかを実践してきた末に、現在の著者がある。
以前は、長寿は遺伝子的要因によるという説があったが、最近の研究では、生活習慣こそが寿命の決定的要因であることが明らかになっている。著者のように、日々の選択でがん細胞の増殖を防ぐことはできる。四大生活習慣病であるがん、糖尿病、心臓病、肺病で10人中9人が死ぬが、これらは基本的に予防可能な病気なのである。
食べる・動く・眠るという3要素に同時並行で取り組むことも、最新の研究成果に裏付けられた有効な方法だ。健康的な朝食は、その日の活力を生み出す。活動的に過ごすと、夜はよく眠れる。眠れると次の日はさらに健康的に、活動的に過ごせる。というように、3要素は互いに関連しあい、好循環を生むので、1つの要素だけに取り組むよりも効果は高くなる。
本書では、食べる・動く・眠るの3要素に並行してアプローチするため、各章で、1要素に偏らないように3つのアイデアを提案している。以降は、そのうちのいくつかの章を紹介しよう。
一口食べる、一口飲む、というささいな行為にも、健康にプラスであるかマイナスであるかという違いがある。たとえば、甘い炭酸飲料でなくミネラルウォーターを飲むのはプラス、野菜でなくフライドポテトを選ぶとマイナスである。
一見健康的に見える飲食物も、栄養素や原材料を考えるとじつは健康的にはマイナスである、という場合もあるので注意せねばならない。「農家直送サラダ」という名前でも、刻んだフライドチキンとベーコンがまぶされ、油たっぷりのドレッシングがかけられていたら、ちっとも健康的ではない。
多くの料理には、良い材料も悪い材料も使われているものだが、差し引きしてみてプラスになるかどうか考えることを習慣にするとよい。
世界的に見ると、運動不足で死ぬ人のほうが喫煙で死ぬ人よりも多いという。
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