今、どんなに自分が話すことに自信がなくても、心配はいらない。老練な政治家として名高いブライアンは、最初の演説では膝が震えた。フランス一の雄弁家といわれたジャン・ジョレスですら、下院議員となった最初の一年は演説する勇気が持てなかったそうだ。
有名になった政治家の多くは、最初は惨めな姿を聴衆の面前にさらしている。英国議会ではむしろ、若手議員の最初のスピーチが上手くいくことは、その後の不吉の予兆とさえみなされているという。
誰しも最初から上手くいくものではない。覚悟を決めたら、まずは勇気を持ってスピーチに取り組もう。逃げずにひたむきに取り組めば、話術の達人への道は開ける。
「話す力」を得るには、それを獲得することを強く望む、何を話したいのか決めてから話す、自信があるように振る舞う、実際に練習する、この4つが必要だ。
スピーチに自信が持てない場合には、緊張をほぐすための行動も決めておくといいだろう。例えば、テーブルを動かす、窓を開ける、といった簡単な行為だ。何か目的を持って身体を動かすのは、緊張をほぐす手助けとなる。
また、自信たっぷりに振る舞うことも重要だ。アメリカの有名な心理学者であるウィリアム・ジェームズ教授は言う。「意思の力が効きやすい行動のほうをコントロールすれば、意思の力が効きにくい感情のほうも間接的にコントロールできることになる」と。
しかし、話すことへの恐れが生じるそもそもの原因は、自分で練習不足を自覚しているからに他ならない。練習によって成功経験を積みさえすれば、その恐れはおのずと小さくなっていくものだ。時間のゆるす限り、練習に練習を重ねることが大切である。
スピーチの研修に参加したある男性は、研修30分前まで話す内容を決めておらず、ニューススタンドでフォーブス誌を購入した。
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