2007年、セレブで有名なパリス・ヒルトンが、あるトーク番組でフォリー+コリーナ・デザインのドレスを着ていた。番組後、ファストファッション小売業のフォーエバー21が、そのドレスに驚くほどそっくりのドレスを作成し、40ドルで売り出した。オリジナルのドレスの約10分の1の価格だった。
フォーエバー21のドレスを見て、オリジナルのドレスのデザイナー、アンナ・コリーナは「不愉快だわ」と断言した。フォーエバー21のデザイナーが、自分のデザインを盗んでいることに腹を立てているのだった。
このようなファッション界におけるコピーの横行は、アメリカ著作権法の隙間がもたらした必然的な結果だと言えるだろう。アメリカにおいて著作権保護は、ファッション・デザインには適用されないのである。コピーから保護されるのは、ブランド名やプリント柄などごく一部の要素に留まっている。
なぜファッション・デザインはこれまで一度もコピーから保護されてこなかったのだろうか。それはアメリカの著作権法に対する考え方の特徴である、実用物なら自由にコピーして構わないという姿勢による。一般的に著作権法では、音楽のように機能性を持たない、あるいは最低限の機能的属性しかもたない芸術形態を対象にする。
保護対象となるのは、きらびやかな宝飾品や、アディタスの三本線マークのように商標と結び付きが強いものに限られる。その結果、影響力が強く高価なファッション・ブランドのデザインのコピーが大がかり、かつ合法的に行われているのである。
人々が服を買う理由は様々であり、体を覆って暖かくする、という面もある。しかし、カクテルドレスに何千ドルも払う理由はむしろ、ステータスへの欲望に駆られたものである。
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