優れた人材の採用や育成に悩む組織やチームが多い中、並外れた一流人材を輩出し続けるスーパーボスとは、どんな特徴と原動力を備えた人物なのだろうか。
スーパーボスの実例として、フィラデルフィア・インクワイアラー紙を起死回生させた伝説の編集長、ジーン・ロバーツが挙げられる。彼は新聞界きっての才能養成者だ。才能を持つ人材に限界を超えさせ、部下になった人間すべてを一流に育てるシステムをつくった。チャレンジングな業務を積極的に任せ、指導とサポートを惜しまず、部下自らにクリエイティブな決定を下すように促す。ロバーツのもとから巣立った記者の多くは、アメリカの報道界で確固たる地位を築いている。そして彼の薫陶を受けた人物は、彼をリーダーとして尊敬し、崇拝している。
このような才能養成者は、あらゆる業界に生息する。彼らはメンバーの才能を引き出すために、やる気とインスピレーションとチャンスを与え、親身な指導によりイノベーションを起こしていく。よって有能な人材が自然と惹きつけられるのだ。
どんな地位や職種の人であっても、スーパーボスを見つけ出すことは非常に重要だ。部下を指導する立場なら、スーパーボスをロールモデルにして、最高のチームをつくることができる。また、社会に出たばかりの人は、スーパーボスのもとで働くチャンスを逃さないようにするとよいだろう。
スーパーボスとなる人は、出身国から、人種、社会的背景、性格に至るまで実に多彩だ。しかし、彼らにも共通点はあり、指導者として、次の3タイプにはっきりと分かれることが判明した。
1つ目のタイプは、仕事への情熱を追求する中で、その情熱が部下に伝播していくという芸術家肌の「因習打破主義者」である。例えば、ジャズの帝王マイルス・デイビスは、若手を育成することよりも、若手との協働を自身がミュージシャンとして成長する糧にすることを望んでいた。それに共感した若手が、デイビスの創造のビジョンと表現力を学びたいと殺到したのである。
2つ目のタイプは、勝利を至上命題とし、部下にこれまで以上の能力を発揮させようと叱咤する「栄誉あるろくでなし」だ。
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