社内起業家は、世の中を大きく変える原動力の担い手である。企業で、マネジメント力だけでなく、創造・変革の力が強く求められている現在、新規事業開発(社内起業)は、そうした力を身につける絶好のチャンスといえる。
社内起業には、「資金・人材・信用」という、独立起業にはないメリットがある。社内起業では、社内での予算獲得が必要となるが、創業したてで信用力の乏しい企業が融資を受けるのに比べれば格段に資金が得やすい。また、物流や経理、法務などのエキスパートが社内にいるため、社外に教えを請う必要もない。何より、会社の信用があるため、取引先もリスクを引き受けてくれやすいというのが最大のメリットである。
一方、社内起業ならではの壁も存在する。まずは既存事業と新規事業の社内競合関係である。競合を避けるために顧客ニーズとかい離した差別化を図るのは本末転倒だと心に留めなくてはならない。また、大組織であれば、階層が多いために経営の判断と実行のスピードが遅くなるというデメリットが生じやすい。
新規事業はトライ&エラーのサイクルの回数が成否を分けるため、経営陣とのホットラインを設けるなど、スピード感を保つ体制づくりも大事になる。そのほか過剰な保守意識や、現状への危機感の不足も、社内の「壁」になるため、仲間に将来の展望を語り、変化を促すことが求められるだろう。
新規事業担当者には、次の5つの覚悟が必要だと著者は説く。
1つ目は、自ら率先して失敗する覚悟である。新規事業の成功への近道は、お客様のニーズを汲み取り、失敗覚悟で前進し、失敗を糧にするサイクルを早めることだからだ。
2つ目は、自分が主体的に先頭に立つ覚悟である。社内で反対意見が出ても、柔軟に取り入れながら、不退転の決意で引っ張っていく意志が不可欠だ。
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