ホワイト企業
ホワイト企業
女性が本当に安心して働ける会社
ホワイト企業
出版社
文藝春秋
出版日
2013年11月29日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

女性が働きやすい企業とは一体どのような企業なのだろうか。この論点は、これから就職活動を控える女子学生にとっては、非常に重要なものだろう。また、後輩の女性から就活相談を受けたとき、どう答えればよいものかと困っている男性も多いのではないだろうか。

そんな悩みを解決するのに本書はうってつけであると言えよう。本書は経済産業省監修の書籍であり、著者の坂本里和氏は「多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営」を評価する経済産業省の取り組み「ダイバーシティ経営企業100選」を担当しており、女性の働きやすい企業の研究にも十分に精通している人物であると言えよう。

戦後高度経済成長における日本社会では、「男性は会社で働き、女性は家庭を守る」といった分業が成立していたが、現在の厳しい経済状況においては、その価値観を変えていく必要があると著者は語っている。女性がますます企業で活躍していくことが今後の日本では求められているのである。

そうは言っても他の先進国と比して、日本の労働環境が女性にとって働きやすいものであるかと言えば、その取り組みの重要性は認識されつつも、未だ十分とは言えない。そのような現状において本書は、これからの未来を生きる女子学生にとって、働きやすい「ホワイト企業」を見極める指導書となるに違いない。一方で、女性社員の活躍をより一層に進めていきたいと考えている経営者にとっても必見の一冊であるだろう。

著者

坂本 里和
経済産業省 経済産業政策局 経済社会政策室長
「ダイバーシティ経営企業100選」担当
1972年生まれ。東京大学法学部卒。95年通商産業省(当時)入省。
98~2000年、アメリカのハーバード法科大学院、スタンフォード法科大学院へ留学。2011年より現部署へ。
女性がワークライフバランスを取りつつ、いきいきと活躍できる環境づくりのため、女性の活躍を支援する企業を後押ししている。「なでしこ銘柄」などのプロジェクトも担当。私生活では4女の母。

本書の要点

  • 要点
    1
    企業は今イノベーションの必要性を認識している。イノベーションを起こすためには、多様な人材が集まって知恵を出し合わなくてはならない。そこで今、企業は女性のアイデアや発想力に注目している。
  • 要点
    2
    日本において、女性は結婚や出産を機に離職して、その後再就職するというM字カーブの就業率となっているが、先進国の中で、このM字カーブが残っているのは、日本と韓国くらいである。
  • 要点
    3
    個々の企業における女性の働き続けやすさ、活躍のしやすさは、①平均勤続年数の男女格差、②実労働時間、または残業時間、③有給取得率、④女性の管理職比率、⑤女性の役員比率から見極めることができる。

要約

女子の就活は男子の就活とは違う

女子のほうが人生設計のパターンが多い
Fuse/Thinkstock

男子と女子の就活の違いとはなにか。著者によれば、それは女子のほうが人生設計にパターンが多いことだと指摘する。一生バリバリ働くかどうか、結婚相手が転勤になってしまったらどうするか、子どもを産むとしたらいつのタイミングがいいか、といったように女子特有の悩みは多い。特に、妊娠・出産といったライフイベントの影響は、極めて大きいものである。

選択肢が多い女子だからこそ、就活にあたってもいろいろな情報を集めて、長い目で見て「賢い選択」をすることが大切だ、と著者は語る。本書は基本的に女性向けに話が展開されているが、若い男性も育児参加やプライベートの充実を望む傾向があるため、女性にとって働きやすい会社はこうした男性にとっても魅力的な職場でもある。

厳しい経済状況

今の経済状況は就活生の親の世代とは異なり、シビアな状況になっている。親世代はまさしく高度成長期の真っ只中であり、若い安い労働力がどんどん供給される「人生ボーナスの時代」と言われていた。人口ピラミッドのバランスもとれていたため、少なくとも大企業に入社すれば一生安泰、終身雇用が保障されていて、年功序列型で安定した給与が保障されていた。そのため、「夫が外で働き、妻は家を守る」という夫婦間での役割分担が定着し、当時はそれなりにうまくいっていた。

しかし、バブル崩壊と新興国の台頭により、もう当時のような高成長は望めない。そこで日本経済の維持発展のカギを握っているのが女性なのである。

中央大学の山田昌弘教授によると、結婚適齢期の独身男性で、一家を養える年収(600万円)以上の男性は首都圏でも3.5%程度しかいない。女性にとってもこれからは経済的に自立することがリスクの少ない生き方であると言える。

企業が女性を欲しがる理由

なぜ女性がイノベーションを起こせるのか
iStock/Thinkstock

市場が成熟してモノがあふれてくると、新しい価値を持った商品を開発するために、イノベーションを起こさなくてはならなくなる。そして、イノベーションを起こすためには、多様な人材が集まって知恵を出し合わなくてはならない。

そこで今、企業は女性のアイデアや発想力に注目している。消費者がどのような商品を求めているかは、職場に閉じこもっていても、なかなか出てこない。残業ばかりが求められる会社人間だけでは、消費者の眠っていたニーズを掘り起こし、これまで世の中に全くなかった商品やサービスを考え出すことは困難だ。

企業コンサルタントとして活躍している株式会社ワーク・ライフ・バランス小室氏によると、「ワーク、ワーク、ワークで一日のほとんどを過ごしている社員たちが集まって会議をしても、アイデアのひきだしは空っぽで何も出てこない。けれども、ライフ、つまり家庭や地域で生活者としての経験が豊富な社員には、アイデアの引き出しをたくさん持っている人が多い」という。

実際にキリンホールディングスは、妊娠中や授乳中の女性でも飲めるように、という女性社員の発案から、「キリンフリー」というアルコールゼロ飲料を開発した。このようにイノベーションを追い求める企業の、女性へのアイデアや発想力への注目は今後も続くことになるだろう。

女性にとってのホワイトな働き方

女性の3つの働き方

女性の働き方は、大きく以下の3つに分類されるといわれている。

1.結婚あるいは出産をきっかけに、家庭に入る専業主婦のパターン

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要約公開日 2013.12.13
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