2009年初頭、世界を襲った不景気は、「営業」というものを考え直す大きな契機となった。顧客が買い渋り、小さな契約すら成立しにくくなった中でも、着実に成果を上げる販売員がいたのだ。著者は彼らの特徴を知るために、販売員の生産性についての調査を始めた。すると、これまでのイメージを大きく覆す結果が出た。
まず、すべての販売員は次の5タイプに分けられることがわかった。
・ハードワーカー(勤勉タイプ)
・チャレンジャー(論客タイプ)
・リレーションシップ・ビルダー(関係構築タイプ)
・ローンウルフ(一匹狼タイプ)
・リアクティブ・プロブレムソルバー(受動的な問題解決タイプ)
これら5タイプの販売員は、いずれも平均的な成果なら十分に上げることができる。しかしハイパフォーマンスを上げることができるのは、一部のタイプに限られていた。
従来販売員のあるべき姿とされていたのは、3つめの「関係構築」タイプである。彼らは顧客との間に友好な関係を築き上げ、緊張を解きほぐして契約に結びつける。しかし調査の結果わかったのは、この「関係構築」タイプの販売員の中にはハイパフォーマーが極端に少なく、全体の7%を占めるにすぎないということだった。
その傾向は、営業内容が複雑になればなるほどより顕著になる。近年では、商品を単体で売るプロダクト営業はほぼ廃れ、複数の商品を組み合わせて売るソリューション営業が主流になっている。「関係構築」タイプはこうした状況下では、ほとんど力を発揮できない。
逆に力を発揮したのは、「チャレンジャー」タイプの販売員たちだった。彼らは「関係構築」タイプとは対照的な特徴を持つ。「チャレンジャー」は顧客との間に建設的な緊張感を築き、ときには厳しく決断を迫ることもある。しかしその
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