チャレンジャー・セールス・モデル

成約に直結させる「指導」「適応」「支配」
未読
チャレンジャー・セールス・モデル
チャレンジャー・セールス・モデル
成約に直結させる「指導」「適応」「支配」
未読
チャレンジャー・セールス・モデル
出版社
海と月社
出版日
2015年11月02日
評点
総合
4.3
明瞭性
4.0
革新性
4.5
応用性
4.5
要約全文を読むには
会員登録・ログインが必要です
本の購入はこちら
書籍情報を見る
本の購入はこちら
おすすめポイント

近年、商品を単体で売るプロダクト営業は廃れ、複数の商品やサービスを組み合わせて、顧客の抱えている課題を解決するソリューション営業が主流となった。しかし「ソリューション」の売買は、大規模で複雑なものとなりがちである。結果、売り手は営業に苦戦し、買い手はリスクを回避しようと慎重になり、取引はなかなか成立しにくくなった。

「どんなときでも成果を出す販売員は、何が違うのか?」。そんな疑問から出発した調査は4年間、90社、6000人にもおよび、これまでの「営業」の議論を大きく覆した。顧客と良好な関係を築く販売員が最も成果を上げるという従来の考えは迷信に過ぎず、本当に成果を上げていたのは、ときに顧客にプレッシャーを与える「チャレンジャー」タイプの販売員だったのだ。半信半疑でページをめくるが、調査結果は確かな数値とエピソードに裏打ちされており、自身が過去に受けた「営業体験」と照らしても、「こんな販売員と取引をしたい」と思わせられるものだった。

本書では「チャレンジャー」の能力が丁寧に読み解かれ、どうすればその技術を組織に再現できるかが記されている。B2B営業の例が中心だが、「チャレンジャー」の考え方やテクニックは、B2Cでも、さらには営業ではなく部署間のやりとりにも使えるものだ。確かに日々の仕事の中では、だれかに自分のアイディアの「営業」をかける機会は少なくない。そんなときにも必ず役立つ考え方が満載だ。営業職の人だけでなく、ありとあらゆるビジネスパーソンにお薦めしたい1冊である。

著者

マシュー・ディクソン
ブレント・アダムソン
世界有数のアドバイザリー会社CEBにおいて、マシュー・ディクソンはエグゼクティブ・ディレクターを、ブレント・アダムソンはマネージング・ディレクターを務める。CEBは、数千社におよぶクライアント企業の成功事例、先進的な調査手法、人材分析を組み合わせて、経営陣に事業変革のための知見やソリューションを提供。その独自アプローチで、世界中のエグゼクティブから注目を集めている。

本書の要点

  • 要点
    1
    販売員は全部で5タイプに分けられるが、景気の好悪に左右されず、またセールス内容が複雑化しても高いパフォーマンスを維持できるのは、「チャレンジャー」タイプの販売員だけである。
  • 要点
    2
    「チャレンジャー」は顧客に迎合するのではなく、「指導」「適応」「支配」の能力によって適切な緊張関係を築き上げる。
  • 要点
    3
    「なぜ顧客は他社ではなくわが社から買うべきなのか」の問いに答えられなければ、「チャレンジャー・セールス・モデル」は実現できない。この問いに答えるためには、個人だけでなく組織を挙げた準備と計画が必要である。

要約

ハイパフォーマンスを生む販売員になるためには?

「関係構築」タイプの販売員は、成果を出せない
Wavebreakmedia Ltd/Wavebreak Media/Thinkstock

2009年初頭、世界を襲った不景気は、「営業」というものを考え直す大きな契機となった。顧客が買い渋り、小さな契約すら成立しにくくなった中でも、着実に成果を上げる販売員がいたのだ。著者は彼らの特徴を知るために、販売員の生産性についての調査を始めた。すると、これまでのイメージを大きく覆す結果が出た。

まず、すべての販売員は次の5タイプに分けられることがわかった。

・ハードワーカー(勤勉タイプ)

・チャレンジャー(論客タイプ)

・リレーションシップ・ビルダー(関係構築タイプ)

・ローンウルフ(一匹狼タイプ)

・リアクティブ・プロブレムソルバー(受動的な問題解決タイプ)

これら5タイプの販売員は、いずれも平均的な成果なら十分に上げることができる。しかしハイパフォーマンスを上げることができるのは、一部のタイプに限られていた。

従来販売員のあるべき姿とされていたのは、3つめの「関係構築」タイプである。彼らは顧客との間に友好な関係を築き上げ、緊張を解きほぐして契約に結びつける。しかし調査の結果わかったのは、この「関係構築」タイプの販売員の中にはハイパフォーマーが極端に少なく、全体の7%を占めるにすぎないということだった。

その傾向は、営業内容が複雑になればなるほどより顕著になる。近年では、商品を単体で売るプロダクト営業はほぼ廃れ、複数の商品を組み合わせて売るソリューション営業が主流になっている。「関係構築」タイプはこうした状況下では、ほとんど力を発揮できない。

「チャレンジャー」になれ

逆に力を発揮したのは、「チャレンジャー」タイプの販売員たちだった。彼らは「関係構築」タイプとは対照的な特徴を持つ。「チャレンジャー」は顧客との間に建設的な緊張感を築き、ときには厳しく決断を迫ることもある。しかしその

もっと見る
この続きを見るには...
残り3740/4528文字

3,400冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2016.04.06
Copyright © 2024 Flier Inc. All rights reserved.
一緒に読まれている要約
イノベーション・ファシリテーター
イノベーション・ファシリテーター
野村恭彦
未読
大前研一ビジネスジャーナル No.8
大前研一ビジネスジャーナル No.8
大前研一(監修)good.book編集部(編)
未読
価値創造の思考法
価値創造の思考法
小阪裕司
未読
会社を立て直す仕事
会社を立て直す仕事
小森哲郎
未読
企業家としての国家
企業家としての国家
マリアナ・マッツカート大村昭人(訳)
未読
ヒップな生活革命
ヒップな生活革命
佐久間裕美子
未読
働く力を君に
働く力を君に
鈴木敏文勝見明
未読
中国のスティーブ・ジョブズと呼ばれる男
中国のスティーブ・ジョブズと呼ばれる男
陳潤永井麻生子(訳)
未読