一般的にファシリテーターというと、会議の進行役という意味合いで使われることが多い。一方、「イノベーション・ファシリテーター」の定義は、「新しいアイデアやプロダクトを新しい方法で世の中に提供して、社会に変革を起こそうとする人々を支援し、うまくことが運ぶよう舵取りする人」である。
これまで企業や団体は、単独でそれぞれの課題に取り組んできた。しかし、グローバル化が進み、社会における解決すべき課題は複雑化し、そのテーマは多岐にわたっている。従来の枠組みを越え、異なる立場の人々が課題を共有し、対話を通じて解決策を考えていくことが、必須となっている。
そこで注目されているのが、「イノベーション・ファシリテーター」である。彼らがめざすものは、達成したい社会的な課題に対して、課題の当事者およびその関係者、つまりステークホルダーたちの関係に変容を生み出すことである。ある社会課題に対し、多様な立場の人が、一緒に多角的な角度から眺めることで、これまで気づかなかった新たな視座を得ることができるのだ。
イノベーション・ファシリテーターは、イノベーションを起こすために、ステークホルダーを集めたフューチャーセッションを開催する。フューチャーセッションとは、未来に向けた問いかけについて多様な参加者が対話し、相互理解と信頼関係を築く中で、新たなアイデアを生み出し、協調してアクションを起こしていく場である。参加者たちが互いの違いから生じる葛藤を乗り越え、関係に変容が起きると、既存の発想を越えた新たなステージに駆け上がることができ、それがイノベーションの引き金となる。セッションにおいて、イノベーション・ファシリテーターは、好奇心を発揮して当事者の話を深掘りし、本質的な想いを引き出していくことが求められる。その際、フュー
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