ブレない自分をつくる「古典」読書術

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ブレない自分をつくる「古典」読書術
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ブレない自分をつくる「古典」読書術
出版社
日刊工業新聞社
出版日
2016年03月01日
評点
総合
3.5
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

古典には人生のヒントが散りばめられている――こうした言説はしばしば目にするものの、大半の人にとって古典を読むのは敷居が高い。その本が古くに書かれたものであればあるほど、現代の生活環境とはかけ離れているように思えるし、単純に表現が難しいこともあいまって、読みにくく感じるからだ。

実際、著者も古典には相当苦手意識があったという。しかし、人生の困難にぶつかり、どうにもならなくなった時、その答えを古典に求めた著者は、人間塾という読書会を開くことで道を開くことができた。難しい古典であっても、複数の人間と読んでいけば、内容の理解が深まるし、他者の思考についても共有できる。この考えに同調した人は多く、人間塾は現在、参加者が計1000人を超える規模にまで広がったという。

著者の活動が他の読書会と一線を画しているのは、「実践」という部分に焦点を当てていることだ。本書の中でも、読むだけでなく実践に移すことの重要性が繰り返し説かれている。著者の提案する「古典」読書術とはすなわち、時代の荒波を乗り越えた書籍に絶大な信頼を置き、その内容を一切批判せずに受け入れ、実生活の場で生かすというもので、この考えにはいささか面食らう人もいるだろう。

しかし、ブレない自分をつくるためには、何らかの軸となる思想や生き方が必要不可欠になる。その拠り所を求める時、古典の教えを素直に受け止め、実践することは心の糧になってくれるはずだ。あなたも本書を片手に、自分の軸となる古典に出会う旅へ出掛けてみてはいかがだろうか。

著者

小倉 広(おぐら ひろし)
「人間力を高める」一般社団法人 人間塾 代表理事
「対立から合意へ」一般社団法人 日本コンセンサスビルディング協会 代表理事
「自分で考え、自分で動く人を育てる」株式会社小倉広事務所 代表取締役
組織人事コンサルタント、アドラー派の心理カウンセラー。日本経済新聞社BIZアカデミー講師、日経ビジネス課長塾講師、SMBCコンサルティング講師。
大学卒業後、株式会社リクルート入社。企画室、編集部、組織人事コンサルティング室課長など主に企画畑で11年半を過ごす。その後ソースネクスト株式会社(現・東証一部上場)常務取締役、コンサルティング会社代表取締役などを経て現職。
一連の経験を通じて「リーダーシップとは生き様そのものである」との考えに至り、「人間力を高める」人間塾を主宰。「人生学」の探求および普及活動を行っている。また、20年間のコンサルタントとしてのプロジェクト・マネジメント経験をもとに「対立を合意へ導く」コンセンサスビルディング技術を確立。同技術の研究および普及活動を続けている。
著書に「アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉」(ダイヤモンド社)「僕はこうして苦しい働き方から抜けだした」(WAVE出版)「任せる技術」(日本経済新聞出版社)など30冊以上。他に、15冊以上の著作が韓国、台湾、香港、中国などで翻訳販売されている。

人間塾(にんげんじゅく)
一般社団法人人間塾が主催し、塾の参加者が自ら運営する無料の勉強会。「リーダーシップとはリーダーの生き様そのものである」、真のリーダー育成は「人間力」を高める他に方法はない、との信念から運営されている。論語や老子などの東洋哲学、その薫陶を受けた森信三、安岡正篤などの書籍、さらには、アルフレッド・アドラー、サミュエル・スマイルズ、V.E.フランクルなどの西洋の心理学や「生き方」に関する書籍を課題図書に、月1回土曜日に、東京、名古屋、関西で開催している。また、全国各地で塾の参加者が支部会を開催。だれでも、いつからでも、何度でも参加できる。

本書の要点

  • 要点
    1
    ビジネス書は知識や技術といったスキルを身につけるのに役立つが、古典はその土台となる人間力を磨くために必要になるものである。
  • 要点
    2
    古典の教えを実践することで、出来事に対する意味づけがしっかりとできるようになり、自分の悩みの本質に気づくことができる。
  • 要点
    3
    最初から難解な古典に手をつけるのではなく、簡単なものから読み進めていき、そこから幅を広げて理解を深めていけばよい。
  • 要点
    4
    一人で読み進めるのが難しければ、コミュニティに加わるのが効果的である。理解度が高まり、自分とは違う視点もあると気づけるようになる。

要約

【必読ポイント!】 現代に古典を読む理由

古典にはまったく興味がなかった20代

著者は20代の頃、たまに小説やコラムを読む程度で、まったくといってよいほど本を読まなかったという。29歳の時、組織人事コンサルタントの仕事をすることになり、ビジネス書や学問的書籍を読み始め、読書の楽しさを知った。しかし、初めて管理職になった30歳の時、チームマネジメントに失敗し、うつ病にかかってしまう。

さらに、管理職を一端辞任し、再びコンサルタント業務に戻ってみても、MBA的な手法では解決が難しい事例に多く遭遇した。これらのことから、問題は「人間的な部分にあるのではないか」と感じ、これまで避けていた古典の中に、人間としてのあり方についての指針があるのではないかと考えるにいたった。

とはいえ、一人で難解な古典を読み進めるのはあまりにも難しい。そこで、皆と一緒に古典を読む場をつくりたいと考え、「人間塾」の設立に至る。当初は数名~十名程度で始める予定だったが、あっという間に賛同者が増え、名古屋や関西の会場も含めると、1000名規模に達した。

賛同者はビジネス書や自己啓発本、あるいは他者への相談では解決できなかった悩みを抱えており、それぞれが「自分自身の人間力不足」に原因を見出すようになった。「視点を目の前の悩みから、人間のあり方や生き方というものに移したとき。そこで多くの人は、古典の存在に気づきます」。こう述べる著者は、人間塾が多くの人の悩みや苦しみを解放する場になっていると考えている。

ビジネス書と古典の違い
Zoonar RF/iStock/Thinkstock

人間塾では、著者が選定した古典を最低月1冊、皆で精読している。ここで扱われる古典は3つの層に区分される。

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要約公開日 2016.05.03
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