著者は20代の頃、たまに小説やコラムを読む程度で、まったくといってよいほど本を読まなかったという。29歳の時、組織人事コンサルタントの仕事をすることになり、ビジネス書や学問的書籍を読み始め、読書の楽しさを知った。しかし、初めて管理職になった30歳の時、チームマネジメントに失敗し、うつ病にかかってしまう。
さらに、管理職を一端辞任し、再びコンサルタント業務に戻ってみても、MBA的な手法では解決が難しい事例に多く遭遇した。これらのことから、問題は「人間的な部分にあるのではないか」と感じ、これまで避けていた古典の中に、人間としてのあり方についての指針があるのではないかと考えるにいたった。
とはいえ、一人で難解な古典を読み進めるのはあまりにも難しい。そこで、皆と一緒に古典を読む場をつくりたいと考え、「人間塾」の設立に至る。当初は数名~十名程度で始める予定だったが、あっという間に賛同者が増え、名古屋や関西の会場も含めると、1000名規模に達した。
賛同者はビジネス書や自己啓発本、あるいは他者への相談では解決できなかった悩みを抱えており、それぞれが「自分自身の人間力不足」に原因を見出すようになった。「視点を目の前の悩みから、人間のあり方や生き方というものに移したとき。そこで多くの人は、古典の存在に気づきます」。こう述べる著者は、人間塾が多くの人の悩みや苦しみを解放する場になっていると考えている。
人間塾では、著者が選定した古典を最低月1冊、皆で精読している。ここで扱われる古典は3つの層に区分される。
3,400冊以上の要約が楽しめる