事業を成功へ導くためには、うまくいくパターンを見つけて、それを繰り返し、資源を蓄積させて他の事業と差別化を図る必要がある。経営学の理論は自然科学の法則とは異なり、「Aをすれば必ずB」という結果を生み出すほどの万能性はない。しかし、ある事象について1回限りの特殊な要因を排し、要因の括り方の抽象度を上げ、ある部分の因果関係について見てみると、そこには何かしらの「繰り返し性」が見つかる。経営学のみならず社会科学の理論はこうした共通の要因を各々括り出すことで成り立っている。
そのため、一般解である経営学の理論やフレームワークを知っておくことは有用である。自分ですべての方法を試して成功するかを確かめるといった無駄な遠回りをせずに済むからだ。また経営学の理論は、経営者がビジネスにおいてチェックすべきポイントを提示してくれたり、多くの人に役立つ示唆を与えてくれたりもする。
経営学の理論は「自社にピッタリ」にはできていないという点を忘れてはならない。自社の現状にそのまま理論をあてはめようとすると、説明できない部分が必ず出てくる。同時に、こんなことまで考えなくてもよいという要素が含まれてしまう。したがって、経営学の理論を利用する際は、どういった例外や限界があるのかを認識し、どういう条件を満たす場合にその理論が適応されるのかを押さえておくことが欠かせない。その上で自社にとって過小な部分と過剰な部分を調整することが肝要である。
しかし、いざ実際のビジネスとなると、自社用に理論を調整したからといって必ずしも事業を成功させることができるわけではない。
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