リーダーの究極の教科書 論語

2000年以上読まれてきた上に立つ者のバイブル
未読
リーダーの究極の教科書 論語
リーダーの究極の教科書 論語
2000年以上読まれてきた上に立つ者のバイブル
未読
リーダーの究極の教科書 論語
出版社
クロスメディア・パブリッシング
出版日
2015年10月21日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

『論語』と言えば、あまりにも有名な「三十にして立ち、四十にして惑わず……」という一節を思い浮かべる人も多いだろう。それほど深く知らないという人でも、「一を聞いて十を知る」「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」ならなじみがあるはずだ。普段、私たちが見聞きしたり読んだりしているフレーズにも、『論語』からの引用は少なくないのである。2000年以上前に書かれた『論語』の内容が「正しい道」として認識され、古今東西を問わず学び続けられているということは、驚嘆に値する。これは、『論語』の内容が、時や場所、人を選ぶことのない普遍的な真理であるからなのであろう。

本書では『論語』と経営の実例などをリンクさせながら、人間としての生き方やビジネスの実践哲学が述べられている。本書を読めば成功した経営者たちの多くが、何らかのターニングポイントにおいてどのように自分を省みたのかがわかる。さらには、『論語』に書かれているような、確固とした軸をどう見つけ出し、ビジネスに活かしてきたかが理解できるだろう。

本田宗一郎やはとバスの事例から、孔子の語った「仁」「義」「礼」の核心に、ビジネスの視点から迫っている点も、本書の特徴である。「天命」をテーマに、渋沢栄一などの日本有数の財界人たちのエピソードをまじえて、リーダーとしての「生き方」を学べるのも興味深い。

『論語』はリーダーとなる立場の人にとっては欠かせないバイブルだといえる。本書を読んだ後は、ぜひ『論語』の日本語訳にも挑戦してほしい。

著者

皆木 和義(みなぎ かずよし)
1953年、岡山県生まれ。早稲田大学法学部卒。経営研究家。日本取締役協会会員。経営コンサルタント、プロ経営者、作家、歴史研究家として幅広く活動。「盛和塾」東京地区元代表世話人。平成ニュービジネス研究所所長、(株)ハードオフコーポレーション(東証一部)代表取締役社長、経済産業省消費経済審議会委員などを歴任。現在も経営の第一線で活躍するとともに、NPO法人確定拠出型年金教育・普及協会理事長なども務めている。
著書に『1人で100人分の成果を出す 軍師の戦略』(クロスメディア・パブリッシング)、『稲盛和夫の論語』(あさ出版)、『MBA ビジネスプラン』(共著、ダイヤモンド社)などがある。
講演家としてもJR東日本や総務省、Googleなど、さまざまな企業で「歴史に学ぶビジネス戦略」等をテーマに多数の実績がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    『論語』は自分の夢や生き方を見直し、人生のグランドデザインを再構築するときのバイブルになってくれる。40歳の時点で、志や人生の目的、哲学などを再点検することを著者は薦めている。
  • 要点
    2
    本物の生き方をするためには、生涯の夢を持ち続けることが必要だ。
  • 要点
    3
    松下幸之助の「不況克服の心得十カ条」や、本田宗一郎の「3つの喜び」などの根底には『論語』の考え方がある。また、ビジネスや経営における「仁(大きな人間愛)」は、多くの企業の経営理念や社是、経営哲学に見ることができる。

要約

『論語』から生き方を学ぶ

40歳で人生のグランドデザインを再構築

「吾十有五(われじゅうゆうご)にして学に志し、三十にして立ち、四十にして惑わず、五十にして天命を知り、六十にして耳順(したが)い、七十にして心の欲する所に従えども、矩(のり)を踰(こ)えず」(為政)

これは、『論語』における非常に著名な一節であり、人生の節目に対する孔子の考え方である。読者が自分の夢や今後の人生、生き方をあらためて見直し、「人生のグランドデザイン」を再構築するのに非常に参考になる。

著者の皆木氏は40歳ごろはまだまだ惑っていた。しかし、めざしていたプロ経営者となるべく、41歳で退路を断って経営コンサルタントとして独立した。順調なスタートを切ることができたが、停滞や紆余曲折も経験した。しかし、『論語』で説かれている「利他の心」と「素直な心」を持って前進しようという思いを失わず、現在に至っている。それを支えたのは、孔子が重要視していた、「我以外皆師」として積極的に学ぼうとする姿勢だった。

人生の折り返し地点である40歳のときには、ゼロベースで人生のグランドデザインを考えることが重要である。志や人生の目的、哲学などを再点検する「人生の洗濯」をして、決断を下したら、「天命を信じて人事を尽くす」ことだ。

惑わないために「ぶれない哲学」が必要
Grufnar/iStock/Thinkstock

「知者は惑わず、仁者は憂えず、勇者は懼(おそ)れず」(子罕)

これは、『論語』で何度も登場する「知」の記述の中で、最も有名な文章の一つである。惑わないほどの知者は、

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要約公開日 2016.05.26
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