人を感動させる仕事

僕がソニー、ディズニー、アップルで学んだこと
未読
人を感動させる仕事
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人を感動させる仕事
出版社
大和書房
出版日
2013年09月21日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

著者は日本におけるiPod mini大ヒットの立役者となった人物である。iPod miniは機能面での訴求をせずにファッションアイテムのひとつとして女性にターゲットを絞り、また、女性客を捉えるために家電販売に慣れたスタッフではなくディズニーのような別業界からスタッフを採用するなどの工夫をしたという。著者がそのような決断をできたのは、思い込みや過去のニーズ調査に縛られることなく、自身の肌感覚に信頼を置いていたからだ。

ではどうしたら著者のように、自分の肌感覚を磨き、信頼できるようになるのだろうか。一つにはたとえば、歩きながらiPodを聴かないことだ、と著者は言う。我々が道を歩く時、そこには五感を刺激する情報が満ち溢れている。iPodを聴いてしまうとそれを遮断してしまうことになるからだ。五感から受けたダイレクトな一次情報によってしか、納得感のあるものは他者に提供できない。

こうした著者の主張は、検索によって得られるデジタルな情報に慣れ親しんだ人々にはややオールドファッションに感じられるかもしれない。しかし、このような「人と異なる」情報の捉え方をしていたからこそ、著者は「人を感動させる仕事」を実践できてきたのではないか。本書に述べられているヒントをたとえ一つでも実行していくことが、明日のあなたの「人を感動させる仕事」に結びつくだろう。

ライター画像
猪野美里

著者

前刀 禎明
1958年愛知県生まれ。慶應義塾大学大学院管理工学修士課程修了。ソニー、ベイン・アンド・カンパニー、ウォルト・ディズニー・ジャパン、AOLジャパンを経て、1999年ライブドア創業。2004年アップル・コンピュータ(現アップル)マーケティング担当バイスプレジデント(副社長)に就任、同年アップル日本法人代表取締役を兼務。「iPodの仕掛人」と呼ばれ、日本におけるアップルブランド復活を果たす。スティーブ・ジョブズ主催のエグゼクティブ・ミーティングに本社勤務以外の人間として初めて参加し、アップルの世界戦略の策定とマーケティングに大きく貢献した唯一の日本人としても知られる。
2007年人材教育会社リアルディアを設立し、セルフ・イノベーション実践プログラムや互換教育アプリ「FACE」を開発し、革新的なプラットフォームとして注目される。

本書の要点

  • 要点
    1
    これからの時代に求められるのは、単に情報を獲得し整理する能力の高い人物ではなく、「肌感覚」や「直感」が優れており、他人を共感させる能力に長けた人物である。そして、優れた肌感覚を身に付けるポイントは常に「五感」を働かせることである。
  • 要点
    2
    自分の「スイートスポット」を確立し、他人と違う価値を提供していくためには、常にセルフ・イノベーション(自己革新)をしていかねばならない。セルフ・イノベーションを実現するためには、一度や二度の失敗でくじけることなく、自分のやっていることを信じることが必要である。失敗したとしても、失敗から何かをつかむことが出来さえすれば、それは自分の資産となり、成功に転じる可能性を秘めるものとなる。
  • 要点
    3
    人を感動させる仕事をするためには、自分自身の凝り固まったものの見方を変えていくことが重要である。そのためにできる行動の仕方として「-1+i(マイナス1プラスi)」を心がける。たとえば、「通勤電車の中ではiPodを聴かない(マイナス1)」⇒「何が聞こえる?何に注意が行く?車内広告で目に付いた記事は?(プラスi)」というようにやってみる。このように身近なところで自分自身の価値観の軸を変える行動を取ってみることから始めるとよいだろう。

要約

【必読ポイント!】他人にとって価値を持つスイートスポットを探しあてるために

iStock/Thinkstock
常にセルフ・イノベーション(自己革新)を続けよ

オリジナリティに溢れた発想や仕事で人をワクワクさせるような人間であるためには、自分にしかできないもの、すなわち「スイートスポット(Sweet Spot)」を確立していることが必要である。他人にとって価値を持つようなスイートスポットを確立するためには、絶えずセルフ・イノベーション(自己革新)をしていかなくてはならない。

セルフ・イノベーション実現のためのステップは3つである。

1.「感じる」:観察力を研ぎ澄ませ、自らの五感を駆使して世界を感じる。また、漠然と「見る」、気づきを伴いながら「視る」、徹底的に観察する「観る」、細部に入りすぎずに「俯瞰してみる」を使い分ける。

2.「考える」:感じたことをそのままにせず、まず「なぜだろう?」「自分ならどうする?」と考えてみる。また、さまざまな観点から物事を捉えていく「発散思考」、発散したたくさんの情報の中で何か関連性がないかを探す「収束思考」を常に繰り返すことで、「ひらめき」や「直感」が生まれる。

3.「行動する」:感じた・考えた結果を必ず「行動する」「やってみる」。トライアル・アンド・エラーは経験の質を高めてくれるものであり、失敗を恐れる必要はない。ただし、失敗を前提に取り組むのではなく、必ず成功すると思い、成功するための手続きと方法を考えたうえで行動することが必要である。そして一度や二度の失敗で挫けることなく、自分のやっていることを信じよう。

これからの時代に必要とされる能力とは

iStock/Thinkstock
エンパサイザーを目指そう

これからの時代に必要とされるのはどんな能力か。著者によれば、それはデータの羅列といったような左脳的な働きかけで人に「理解」させるのではなく、右脳的な働きかけも用いて相手に共感させ行動を起こさせる能力である。こうした能力を使いこなす人をエンパサイザー(Empathizer)という。エンパサイザーは感動を伝える伝道師であり、相手を「共感」させ、「想像」を助け、「自発的な行動」を呼び起こす力を持っている。

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要約公開日 2013.12.25
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