ひきずらない技術

心のモヤモヤがスッと消える
未読
ひきずらない技術
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ひきずらない技術
出版社
出版日
2016年05月03日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

人は誰でも、ネガティブな感情を抱えることがある。そんなとき、自分の感情をいかにコントロールし、すばやく気持ちを切り替えられるかによって、ビジネスの現場で本来の力を発揮できるかどうかが決まると言っても過言ではない。変化の激しい現代社会において、複雑な環境の中で成果を求められる傾向は年々強まっている。そんな社会を生き抜いていくためには、いつまでも立ち止まらずに「ひきずらない力」を養うことが必要だと教えてくれるのが本書である。

元IBMのマネジャーである著者が、部下のマネジメントや海外の担当者との折衝の経験から見つけ出した、心を整え、強靭なメンタルを作り上げるノウハウは非常に実践的で、応用の幅が広いものばかりである。もしあなたが「ひきずりやすい」傾向にあるならば、日々の過ごし方を見直し、「ひきずらない人」になる習慣を身につけ、さらに豊かな人生を送るための指針を得られるだろう。

また、本書では、つらい経験を糧に、チャンスをつかんで前に進んでいくための「ひきずらない力」として「レジリエンス」という言葉が紹介されている。このレジリエンスは、変化に柔軟に対応することが求められる現代のビジネスパーソンにとって、必須の力として近年注目されている。ストレスフルな環境でも高いパフォーマンスを発揮していくために、本書を通してレジリエンスやストレス対応力に磨きをかけておきたい。

ライター画像
山下あすみ

著者

深谷 純子(ふかや すみこ)
山口県光市生まれ。山口大学理学部卒業後、ソフトウェア開発会社に入社。
1988年、日本アイ・ビー・エムに移ると、銀行システムのSEとしてサービス開発に携わり、サービス実務部門の管理職、アジアパシフィック統括会社のマネジャーなどを歴任する。コンサルタントとしては、2007年に大型案件の受注をした功績が認められ、社長賞受賞。
子育てをしながらのSE経験、新サービスの開発と担当者教育の実施、部下の労務管理、アジア各国担当者・米国本社との折衝などを通じて、ビジネスのあらゆる場面で「レジリエンス」が求められていることに気づく。2011年には「深谷レジリエンス研究所」を設立。2016年には、ジャパン・レジリエンス・アワード2016優秀賞受賞。「レジリエンス」を高めることで、個人や組織がさまざまな困難・逆境を乗り越える力を身につけてほしいと普及に努めている。現在は、個人・法人対象に研修・コーチングを行っているほか、全国各地でセミナー・講演活動を実施中。

本書の要点

  • 要点
    1
    本書に登場する「レジリエンス」は、心を回復させるだけでなく、つらい経験をする前よりも成長することや、目標に向かってチャレンジし、高いパフォーマンスを持続させることを意味する。「逆境を乗り越えるレジリエンス」と「チャンスを活かすレジリエンス」の2つの力が必要だ。
  • 要点
    2
    サポートしてくれる存在をたくさん持っていれば、レジリエンスを守るクッションとなってくれる。
  • 要点
    3
    失敗や挫折をひきずってしまう原因は、「ストレス対応力」が弱いからである。4つのステップを使い、ストレス対応力を鍛えることが重要となる。

要約

ひきずっていても、前に進めない

人生の成功は、ひきずる人にはつかめない

誰でも人生において、失敗や挫折に出くわす。マイナスの状況にどう対処して、壁を乗り越えていくかが、人生の幸福度に密接に関わっている。ひきずらない人は、次々と課題に挑戦していき、経験とチャンスが積み重なって成功への精度が上がっていく。反対に、ひきずる人はなかなか前に進めないために、成功体験にも恵まれず、ますますひきずるという悪循環に陥ってしまう。

しかし、ひきずりは本来、危機を管理し、生存するために必要な機能でもある。ひきずりがない場合、人は失敗や困難を忘れてしまい、同じ過ちをくり返しかねない。大切なことは、ひきずったままにするのではなく、再び走り出し前進することだ。

良いひきずりと悪いひきずり

それでは、良い引きずりと悪いひきずりの差は何なのか。著者は「反省」と「後悔」の違いだという。反省は失敗や挫折を教訓にすることである一方、後悔は「しなければ良かった」と、過去にこだわって前進しなくなることだ。「悪いひきずり」をする人は、悩みを自分の中で増幅させている。失敗やトラブルを引き起こしてしまっても、「これは自分のサクセスストーリーの第一歩だ」と言える未来にしていけばいい。

「良いひきずり」に変えていくための一歩は、自分のネガティブな感情に気づき、ありのままの自分を知ることだ。ありのままの自分には、欠点だけでなく強みもある。自分の強みを活かす方法を考え、理想の未来を描くことが重要である。

レジリエンスが失敗や挫折を成長に変える
betyarlaca/iStock/Thinkstock

つらい経験やストレスを、良いひきずりに変える力を、心理学では「レジリエンス」と呼ぶ。失敗や挫折を経験して心が折れてしまった状態から、もとの元気な状態に戻る力のことである。

本書では、心を回復させるだけではなく、つらい経験をする前よりも成長することや、目標に向かってチャレンジでき、高いパフォーマンスを持続できるようになることを「レジリエンス」、すなわち「ひきずらない技術」と定義している。本書が提起するレジリエンスを身につければ、失敗や挫折が多ければ多いほど、どんどん成長していくことができる。

【必読ポイント!】ひきずらない技術「レジリエンス」

ひきずらない人がもつ「2つの力」

ひきずりをプラスの力に変えるためには、「逆境を乗り越えるレジリエンス」と「チャンスを活かすレジリエンス」の2つの力が必要だ。もし過去の失敗から立ち直れないなら、前者のレジリエンスが足りないといえる。また、過去の失敗をひきずって、チャンスが来たのに全力を注げないのならば、後者のレジリエンスが足りないのである。悪いひきずりを良いひきずりに変え、ネガティブなことを経験したときよりも一段とたくましい人間に成長するためには、両方のレジリエンスが必要となる。そして、壊れてももとに戻れるしなやかな心の状態をめざすことを、著者は推奨している。

レジリエンスは「コップの水」
Hyrma/iStock/Thinkstock

レジリエンスは増えたり減ったりする性質を持つ。レジリエンスは、夢や希望、頑張った経験などで増える一方、怒りや妬み、自信喪失といった、外からの刺激やストレスを受けると減ってしまう。心をコップにたとえると、レジリエンスはコップの中にある水のようなものである。例えばトラブルが生じ、大きな揺れが起こると、コップの水(レジリエンス)がこぼれて減っていき、心が折れてしまう。

そこで、レジリエンスを守るうえでは、サポートしてくれる存在が多くいるかどうかがカギとなる。助けてくれる上司や同僚、励ましてくれる家族や仲間との信頼関係がクッションとなり、外からの刺激をやわらげてくれる。

レジリエンスを維持するために

レジリエンスを維持するには、次のような方法が効果的だ。1つ目は、夢や希望をふくらませたり、うれしい経験を増やしたりして水をたくさん入れることである。2つ目は、

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要約公開日 2016.08.12
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