プレイングマネジャーの仕事

チーム全体で結果を出す
未読
プレイングマネジャーの仕事
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プレイングマネジャーの仕事
出版社
出版日
2016年06月01日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

「うまくチームを動かせている」と自信を持って言えるチームリーダーが、はたしてどれほどいるだろうか。とくに中小企業の場合、マネジメントのイロハをきちんと学んでいないにもかかわらず、マネジャーになってしまうことが多く、さらに人手が足りないため、現場の仕事を兼務しているケースも少なくない。「プレイングマネジャー」と呼ばれる彼らは、経験のないマネジメント業務に頭を抱えながら、さらに現場の仕事もこなさなければならず、苦労していることだろう。

そこで本書の出番である。プレイングマネジャーがどのようなマネジメントを行えば、チームがうまく回るのか、本書ほど事細かに解説している本は珍しい。

プレイングマネジャーの中には、自分の人間的な魅力やリーダーシップを高めることばかりに躍起になっている人もいるかもしれない。しかし、チームで成果を出すためには、「プレイングマネジャーだけでチームを動かすことはもともとムリなのだと、はっきり認識すること」が重要だと著者は語る。プレイングマネジャーに求められているのは人間的な魅力ではなく、人をいかに動かすことができるのかのスキルなのだ。

人を動かすために必要な考え方や、業績を出すために求められるスキルが、事細かに解説されている一冊である。チームが機能不全に陥ってしまった原因がわからなくなったら、本書を手に取ることを薦めたい。あるべきプレイングマネジャーの姿が、ここにある。

ライター画像
流石香織

著者

小池 浩二(こいけ こうじ)
マイスター・コンサルタンツ株式会社 代表
国際公認経営コンサルテイング協議会認定 CMC
中小企業専門の経営コンサルタントとして1997年4月に神奈川県横浜市にて創業。実践に基づいた中小企業成長戦略のシステムづくりを旨とし、これまで経営診断・経営顧問・研修などで関わった企業は1000社を超える。中小企業の人なし・モノなし・金なし・管理なしから発生する基本的な問題点を解決することを得意とし、独自の繁栄原理原則論「経営3態システム」は、中小企業の特性・痛みをよく理解した内容だと共鳴する経営者が多い。とくに「年商・30億・50億・100億の壁を突破させる方法」と銘打たれた講演は、実践的で中小企業の実態に合っていると定評があり、全国各地からの依頼が絶えない。2016年には、中小企業経営の基礎力アップのための専門動画チャンネルとして「小池浩二の経営.TV」を立ち上げ予定(http://www.m-a-n.biz)。著書に『なぜ会社がうまくいかないか?』「売上を“1 ケタ”上げるための社長の教科書」など(いずれもあさ出版)。

本書の要点

  • 要点
    1
    多くのリーダーは、マネジメントの知識・経験を持っていない。リーダーがマネジャー業務に注力できるような環境を整えていくべきだ。
  • 要点
    2
    役職者でなければリーダーシップ・マネジメントをしてはいけないというのは幻想である。とくに中小企業ではマネジャーがプレイヤーも兼任しているため、負担が一カ所にかたよらないように、役割を分散させるべきだ。
  • 要点
    3
    チームの業績を上げるためには、部門の方針を示し、商材戦略を考え、実践するための戦略を打ち立てる。そして実際に試してみて、阻害要因を排除するよう環境を整備していくというフローをつくる必要がある。

要約

マネジャーとプレイヤーを両立するために

リーダーの多くはマネジメント経験がない
BrianAJackson/iStock/Thinkstock

チームがうまく回らない大きな原因の1つは、メンバーが同じ方向を向いていないことだ。とくに中小企業は、たまたま同じ地域に住んでいるなどの物理的な理由でメンバー構成されていることが多いため、価値観の異なる者同士が集まっている傾向がある。その場合、何かこちらから積極的に働きかけないと、組織はうまく機能しない。放っておけば、それぞれの社員が自己主張をはじめてしまうからだ。

組織は、「チームの目的や目標達成に向けて、業績をあげる」ことを目的としている。リーダーの役割は、組織がうまく機能するように、共通の目的をメンバーに意識させ、人の能力を結集させていくことである。しかし、多くの中小企業には、共通の目標がなかったり、メンバー同士が能力を引き出せていなかったりということが多い。というのも、チームで動くという発想がなかったり、リーダーがマネジメントの仕方をそもそも理解していなかったりするためだ。

とはいえ、それはリーダーに能力がないからではない。なぜなら、予行練習なしで組織運営のマネジメントを行うことは、そもそも非常に難しいからである。とくに中小企業では、マネジメント研修などのトレーニングを実施する余裕がないため、リーダーはマネジメントの知識がないにもかかわらず、組織を回していかざるをえないことも少なくない。

マネジメント業務の割合を引き上げよ

チームがうまく回らない、もう1つの原因は「プレイングマネジャー体制」にある。中小企業では、現場の仕事をこなしつつマネジメントを行う「プレイングマネジャー」が一般的だ。しかし、現場の仕事とマネジメント業務の2つを両立させることは簡単なことではない。

また、リーダーの中には、自らチームの業績に大きく貢献する「スーパープレイヤー型マネジャー」がいるが、このようなタイプがリーダーになっても、組織がうまく機能するとはかぎらない。なぜなら、チームメンバーがその存在に頼りっきりになってしまうからだ。その結果、自らの存在意義を感じなくなり、やる気を失う人が出てくるリスクも考えられる。チーム運営で大事なのは、特定の人物だけに頼らないチームを構築することなのだ。

リーダーに求められているのは、リーダーシップとマネジメントの2つの役割である。しかし先述したように、中小企業におけるリーダーは、マネジャーでありプレイヤーでもあることが余儀なくされることも多い。

そこで、マネジャー業務とプレイヤー業務の比率を調整するようにしてはどうだろうか。たとえば、プレイヤー業務:マネジャー業=50:50だったのであれば、それを徐々に30:70に変えていくのである。自分が現場に出なければならないという思いが強い人もいるだろうが、リーダーがプレイヤー業務に集中してしまうと、チームの生産性はあがらない。そのことを肝に銘じておこう。

チームメンバーの役割

全員でチームを動かす
g-stockstudio/iStock/Thinkstock

中小企業のチームを動かすには、チームリーダーのリーダーシップだけでは不十分である。なぜなら、中小企業のリーダーは、自分の担当の業務を抱えるプレイヤーでもあるため、マネジメントバランスが極端にかたよってしまう傾向があるからだ。かたよりがあると依存体質になりやすく、チームの危険度が増すことになる。そのため、役割は分散させてしまったほうがいい。

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要約公開日 2016.08.08
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