派遣で働くことのメリットはいくつかあるが、一番のメリットは会社本位ではなく、仕事本位で働けるという点ではないだろうか。正社員や契約社員で会社に雇用されると、自分がしたい仕事があっても、その希望が通るとは限らない。会社の業務の中で自分の希望しない業務に従事する可能性がある。派遣ならさまざまな仕事の中から「自分はこんな仕事がしたい」という選択ができる。派遣会社に登録に行った場合、どんな仕事を、どのような条件でしたいのかという希望を出し、派遣会社とこれからのキャリアプランを含めた相談をしながら仕事を選べる点が派遣で働く大きなメリットである。
多くの人が、世間体がいい会社に就職するということを重視して、「自分が取り組みたい仕事を選ぶ」ことを疎かにしている。その結果、短期間で就職した会社をやめる人もいる。また、入社する時点で自分がどんな仕事をしたいのか、どんな仕事に向いているのかわからない人もたくさんいる。派遣の場合、まず自分で仕事を選んでその仕事についてみて、合わないと思えばそこから、いつでも軌道修正ができる。さまざまな仕事を紹介してもらえ、自分の知らなかった仕事に出合えることもある。また、複数の会社を経験したからこそ、自分にはどんな環境でどんな仕事が向いているのかを見極めることもでき、いわゆる天職に出合える可能性も増える。
派遣の仕事は、多くは2ヶ月あるいは3ヶ月単位の契約になる。契約期間を終了しても、派遣先企業と派遣社員の双方の合意があれば契約を更新して仕事を続けていける。こうした派遣のスタイルを活用して独自のライフスタイルを築いていくことが可能となる。海外で数か月間生活したい人、勉強に専念したい人、叶えたい夢がある人など、生活手段としての仕事以外に、何か集中してやりたいことがある人にとっては、自分のやりたいことを中心にスケジュールを立てることができるので、好都合な働き方といえる。
一方、日本の会社はこれまで終身雇用、年功序列をもとにしていたため、ライフステージに応じて、仕事をペースダウンすることや、ブランクを作ることは、会社からの評価を下げる原因になっていた。最近はワークライフバランスを重視する風潮があるものの、まだ完全に定着していない。会社の仕組みを根底から作り変えるのは難しく、介護や育児のサポート制度ができても、十分に機能していない状況もある。派遣はこうしたライフイベントにも対応した、柔軟な働きかたができ、例え短時間しか働けなくても、キャリアを継続することができる。
自分が希望する業界で働きたいと考えたとき、たいてい壁になるのは「未経験である」ということだ。中途採用において、経験やスキルを持たず未経験で入社するのは難しい。しかし、派遣の仕事ならアシスタント業務であれば未経験OKの仕事もあり、未経験でも自分の勤めたい業界で働ける。一度その業界で実務につけば、それは立派な経験となり、将来その業界のプロフェッショナルを目指しキャリアを積んでいくための足がかりになる。
ある調査では、日本企業全体の80%以上が派遣社員を活用したことがあると言われている。あなたの働きたい業界の仕事の有無は派遣会社に直接確認するのが手早く、さまざまな業界の情報をもつ派遣会社との相談は、今後のキャリアプランを立てるのにも役立つだろう。
派遣の仕事は「労働者派遣法」によって保護されている。派遣の仕事に関わるのは、働く人である「派遣社員」と、その人を派遣する「派遣会社」、そしてその人が実際に仕事をする「派遣先企業」の三者だ。正社員や契約社員は勤務先企業と直接雇用契約を結ぶが、派遣社員は派遣会社と雇用契約を結び、働く先は派遣先企業となる。業務の指揮・命令などは派遣先企業から直接派遣社員に下されるが、給与の支払い、福利厚生や教育研修制度の適用などは派遣会社から受けることになる。
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