リーダーと聞いて、どのような人物像を思い浮かべるだろうか。多くの人が、社交的で自己主張の強いタイプの人物をイメージするかもしれない。しかしリーダーシップにはいくつかのスタイルが存在する。従来は自ら指示命令をだして人を動かす「上意下達型」が成果を出してきたが、最近は話を聞いて対話を重ねる「双方向型」へとシフトしてきている。
また、以前は英語圏でもリーダーとマネジャーの区別はあいまいだった。しかし近年は物事を管理して人を動かすのはマネジャーであり、リーダーは方向を示し変革する存在と区別されるようになってきている。
リーダーを育てるにはある程度厳しい環境のもと、リーダーとしての行動規範を徹底して実践する必要がある。しかし、リーダーを輩出する企業は世界的に見ても少なく、人材は慢性的に不足している。
本書では、リーダーシップとは「人を動機づけることを通じて結果を出すこと」と定義している。人は目的もわからず言われたことだけをやるよりも、「何のためにこの仕事をするのか」を理解して取り組むほうがよい仕事ができる。動機づけに関する研究はさまざまあるが、近年リーダーにとって「他人への共感力」や「傾聴力」といった力が重要になってきているという傾向がある。世代の交代とともに各国の文化にも変化が見られ、多様性が生まれてきていることが背景にあると考えられる。
優れたリーダーには、いくつかの共通する特徴がある。魅力的なビジョンを掲げて、誰にも負けない情熱を持ち、高いコミュニケーション力と人を動機づける力をもっている。しかし忘れてはならない重要な特徴が「結果を出す力」である。
「結果を出す力」とは、最終的な結果へのこだわりから生まれるものである。例え、やる気のある優秀なメンバーが毎週80時間働いても、不慮の事故、不意の欠陥、周囲の不手際などさまざまな原因でうまくいかない状態となることがある。そのような心身ともに疲れ果てて孤独な時でも逃げ出さずに、可能性が低くても最善を尽くして、運までを引きよせようとする。この執念のようなものが「結果を出す力」になるのではないだろうか。
リスクをとり、自分のためでなく自分の役割にコミットする。そして、そこで少しでも結果が出ると、周囲からの評価に変化があらわれるはずだ。人は結果についてくるのである。
世界106カ国、3300人のビジネスリーダー、人事責任者への調査で「どんなテーマを重視しているか」という質問の3年連続のトップの回答が「リーダーシップ開発」である。
また他の調査では「3年~5年後の事業を担う次世代リーダー人材が充実している」と回答した企業はわずか15%であった。世界的にリーダー開発は成功していないのが現状である。
近年アジアでは、グローバルに活躍できるリーダーをつくる動きが出てきている。
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