世界を動かすリーダーは何を学び、どう考え、何をしてきたのか?

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出版社
日本実業出版社

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出版日
2016年06月01日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

本書は、様々な分野で活躍する550人ものリーダーに、その生い立ちから仕事に対する考え方、多忙な中での時間の使い方などを緻密にインタビューした集大成である。彼らはトップとして働く中で何を学び、どのように行動して組織ピラミッドのトップに上りつめたのか。

著者は「批判的自己移入」という分析技術を取り入れ、インタビュー対象者が語る内容に、より広いフレームワークを見つけて、リーダーの実像を踏み込んで解釈していった。さらには、彼らの回答や素性を細かくデータ化し、世間にあまり知られていないリーダーたちのありのままの姿を浮き彫りにしていく。その結果、著者は、特定の影響力を備えているだけでなく、それを行使し変化を引き起こすことで、人々の信頼と善意を勝ち得る「プラチナリーダー」がいることを突き止めた。彼らはいわば「変化の触媒」であり、リーダーの模範と呼べる存在だ。

本書に登場するのは、巨大企業のCEO、大統領、名門大学学長など、錚々たるメンバーばかりである。時代を動かすリーダーたちは、キャリア形成において何から影響を受け、マネジメントでどんな問題に直面し、いかに対処してきたのか。こうしたエッセンスが凝縮された一冊だ。これから組織を率いていく人にとっては、この本がプラチナリーダーをめざし、組織を賢く操縦していく際の大きな助けとなるにちがいない。

ライター画像
平賀妙子

著者

D・マイケル・リンゼイ
1971年生まれ。ゴードン大学(マサチューセッツ州)第8代学長。全米で最年少の学長(就任時)。社会学者・教育者。ベイラー大学卒業後、プリンストン神学校、オックスフォード大学で学位、プリンストン大学で博士号(社会学)を取得。前著『Faith in the Halls of Power』はピューリッツァー賞にノミネートされ、全米メディアの注目を集める。

M・G・ヘイガー
プラチナリーダー・アシスタントを経て、ライス大学、ゴードン大学でリサーチアシスタントとなる。2014年よりボストンコンサルティンググループでリサーチャーとして勤務。

本書の要点

  • 要点
    1
    リーダーの中でも、より大きな影響力を行使している人を「プラチナリーダー」と呼ぶ。リーダーになりつつある人物は、優れたメンターとの繋がりを重視する。育った環境や学歴よりも、優秀なメンターを持っていることのほうが成功のカギとなる。
  • 要点
    2
    プラチナリーダーにとっての分岐点は、大学院在学中か卒業直後である。彼らは広い視野で考える「ゼネラリスト的な姿勢」を養っている。
  • 要点
    3
    優れたリーダーは、結果を重視する「責任倫理」と、自分の信念に従って行動する「心情倫理」という2つの倫理的枠組みをうまく使い分けている。

要約

インタビューでの新たな発見

プラチナリーダーとは

著者は10年に渡って、世界的に活躍する550人のリーダーたちにインタビューを行った。

そこでわかったのは、リーダーの中でも特定の影響力を持ち、かつそれを行使している人たちの存在である。彼らには「世界的に重要な組織で大きな影響力を発揮する傾向」、「チャンスを最大化して変化を引き起こそうとする傾向」、「人々の厚い信頼と好意を獲得する才能」という、3つの共通点がある。著者は彼らを「プラチナリーダー」と名付けた。

プラチナリーダーたちはトップとして活躍する期間が長く、人脈やチャンス、時にはトラブルも活用して、「コモングッド(共同の善)」に向けて自分のビジョンを叶えようとする。彼らは「変化の触媒」であり、組織の内部だけではなく、外の世界にも変化を生み出すのだ。

【必読ポイント!】 ネットワークの重要性

強固なマトリックス

トップリーダーは、自分の影響力や立場を維持し、目標を成し遂げるために、ネットワークを大いに活用する。上流にいる人と交流を持とうとする時、あまりに厚かましくても悪い印象を与えかねない。しかし、受け身なままでもいけない。なぜなら人脈の中に、貴重な人間関係のリソースが眠っていることがあるからだ。さまざまな分野のリーダーに影響力を及ぼすスーパースターは、幅広いネットワークを使って、関係のない異なる人々を一つにまとめる「招集力」に長けている。

社会の上流にいる人のネットワークが重なっていくと、人や組織を巻き込んだ、複雑な権力のマトリックスが生まれ、波及していく。ひいては、彼らの関係性が国際的に重要な事項を決定するほど強力になることもある。

優れたメンターの存在がキャリアの成功を左右する
Jirsak/iStock/Thinkstock

リーダーになる可能性のある人が、権力のマトリックスに加わる場合、既に地位を確立しているリーダーがメンターとなり、人間関係の構築を助けるという「メンター関係の鎖」が物を言う。メンターは自分の遺産を未来のリーダーに投資することで、後世にも影響力を及ぼすことができる。未来のリーダーにとって、育った環境や学歴よりも、優秀なメンターから指導を受けたかどうかのほうが、キャリアの成功を左右すると言ってもよい。

また、リーダーたちは、転職や結婚といった人生の重要な決定においては、牧師や叔父、小さい頃からの親友といった、キャリアに関係ない人たちにアドバイスをあおぐことが多い。ネットワークの上のほうにいる仲間だけでなく、下にいる仲間との繋がりも活用できる人こそが、プラチナリーダーになれる。

組織の影響力
aerogondo/iStock/Thinkstock

トップリーダーと一般の人のネットワークの大きな違いは、一流の組織にアクセスできるかどうかである。大手企業や政府の主要機関で働く人と交流できれば、世界にとって重要な決断が下される場に近づける。著者はこのプロセスを「組織的な連結」と呼んでいる。

今日、組織に対して不信感を募らせる人が増えてきているが、組織は社会の幸福の基本であり、リーダーを惹きつける。その組織の規模が大きければ、社会においてより大きな影響力を発揮できるからだ。そして、プラチナリーダーは、より大きな影響力を好む傾向にある。彼らは主要な組織と繋がり、自分の生き方が社会に価値をもたらすことを強く望んでいるからだ。

リーダーへの道は20歳で始まる

プラチナリーダーたちの共通項

著者の調査によると、リーダーになれるかという点において、恵まれた家庭で育ったかどうかは、あまり関係がないことが判明した。

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要約公開日 2016.11.08
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