著者は10年に渡って、世界的に活躍する550人のリーダーたちにインタビューを行った。
そこでわかったのは、リーダーの中でも特定の影響力を持ち、かつそれを行使している人たちの存在である。彼らには「世界的に重要な組織で大きな影響力を発揮する傾向」、「チャンスを最大化して変化を引き起こそうとする傾向」、「人々の厚い信頼と好意を獲得する才能」という、3つの共通点がある。著者は彼らを「プラチナリーダー」と名付けた。
プラチナリーダーたちはトップとして活躍する期間が長く、人脈やチャンス、時にはトラブルも活用して、「コモングッド(共同の善)」に向けて自分のビジョンを叶えようとする。彼らは「変化の触媒」であり、組織の内部だけではなく、外の世界にも変化を生み出すのだ。
トップリーダーは、自分の影響力や立場を維持し、目標を成し遂げるために、ネットワークを大いに活用する。上流にいる人と交流を持とうとする時、あまりに厚かましくても悪い印象を与えかねない。しかし、受け身なままでもいけない。なぜなら人脈の中に、貴重な人間関係のリソースが眠っていることがあるからだ。さまざまな分野のリーダーに影響力を及ぼすスーパースターは、幅広いネットワークを使って、関係のない異なる人々を一つにまとめる「招集力」に長けている。
社会の上流にいる人のネットワークが重なっていくと、人や組織を巻き込んだ、複雑な権力のマトリックスが生まれ、波及していく。ひいては、彼らの関係性が国際的に重要な事項を決定するほど強力になることもある。
リーダーになる可能性のある人が、権力のマトリックスに加わる場合、既に地位を確立しているリーダーがメンターとなり、人間関係の構築を助けるという「メンター関係の鎖」が物を言う。メンターは自分の遺産を未来のリーダーに投資することで、後世にも影響力を及ぼすことができる。未来のリーダーにとって、育った環境や学歴よりも、優秀なメンターから指導を受けたかどうかのほうが、キャリアの成功を左右すると言ってもよい。
また、リーダーたちは、転職や結婚といった人生の重要な決定においては、牧師や叔父、小さい頃からの親友といった、キャリアに関係ない人たちにアドバイスをあおぐことが多い。ネットワークの上のほうにいる仲間だけでなく、下にいる仲間との繋がりも活用できる人こそが、プラチナリーダーになれる。
トップリーダーと一般の人のネットワークの大きな違いは、一流の組織にアクセスできるかどうかである。大手企業や政府の主要機関で働く人と交流できれば、世界にとって重要な決断が下される場に近づける。著者はこのプロセスを「組織的な連結」と呼んでいる。
今日、組織に対して不信感を募らせる人が増えてきているが、組織は社会の幸福の基本であり、リーダーを惹きつける。その組織の規模が大きければ、社会においてより大きな影響力を発揮できるからだ。そして、プラチナリーダーは、より大きな影響力を好む傾向にある。彼らは主要な組織と繋がり、自分の生き方が社会に価値をもたらすことを強く望んでいるからだ。
著者の調査によると、リーダーになれるかという点において、恵まれた家庭で育ったかどうかは、あまり関係がないことが判明した。
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