著者は信越化学工業で38年間にわたり、経理・財務の実務を担当してきたが、その中で上司から教えられ、自分自身でも納得して築いた、会社人としての3つの行動指針がある。
すなわち「正確さ」「迅速さ」「誠実さ」である。この3つは、個別に成り立っているのではなく、それぞれが互いに関連している。正確にやろうとすれば迅速さや誠実さが必要となってくるし、迅速に行うにも、正確さや誠実さが伴わなければならない。そして、誠実であろうとすれば、正確さや迅速さも自ずとついてくるはずである。
日本人は伝統的に勤勉、真面目であり、先に挙げた3つは元来もっているものである。また、この3つは国・企業・家庭を運営していくうえで欠くことのできないものであり、人間が生活を営む上で最も大事にするべき根本とも言える。この3つをしっかりと心にとめて行動することが、幸せな人生に繋がるのである。
仕事をすぐにやらない、すぐできないのは、多くの場合は「面倒くさい」と思っているのが原因である。
「なぜ、その仕事が面倒だと感じるのか」について、自分の気持ちを分解していくと、だいたいは「他にやりたいことがある」「やりたくないことに時間をとられるのが嫌だ」「気分が乗らない」「自分が不得意なこと」「やっても楽しくない」などといった原因が見えてくる。こうした「分析」自体を楽しみながらやってみることで、なんとなく気分が楽になっていく。次にやることは、楽になった気持ちをより前向きに変えることだ。
面倒くさい、とてもやりたくない、ということでも、いつかは必ずやらなければならない。そのような場面で著者がやるのは「いつかは必ずやらなければならない!」という言葉を、誰もいないところで10回ほど叫んでみることである。7回を過ぎるくらいで、自分で自分を納得させられるような気持になってくる。そればかりか、その面倒だと思える仕事に対し、責任感のようなものが芽生えてくる。やりたくない理由を分析し、やらなければならないと思い込むことが、面倒なことを後回しにしない秘訣である。
仕事をすぐやらない理由に「いま忙しいから」を挙げる人は多い。では「忙しい」とはどのような状態なのか。「忙しくてできない」と感じた状態を分析すると、「とにかく忙しく、追加される新しい仕事ができない状態」、「時間的に多少余裕はあるものの、次から次へと仕事が出てきて、せわしすぎる状態」などが挙げられる。
とにかく忙しく余裕がない、という場合は、新しい仕事のための時間を捻出しなければならない。そのためには、二つ以上のことを同時にこなす努力と工夫が必要だ。簡単なものだと「考えながらPCで書類作成をする」「トイレの中でアイディアを見つける」「歯を磨きながらテレビのニュースを見る」などが挙げられる。
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