「仕事が速い」というのは、作業スピードが速いということだけを意味しない。無駄のない、確実な仕事をすることも、仕事を速く終わらせるために必要なことである。いくら速くても、雑にやってしまえば、結局やり直しになってしまう。多少遠まわりでも、確実に仕上げたほうが、結果的には速く終わる。
とはいえ、確実に仕事を終わらせることと、完璧をめざすこととは少し異なる。仕事では常に100%を求められるわけではない。例えば、取引先にプレゼンするための資料と、社内共有のためのメモレベルの資料に、同じクオリティを求める必要はない。
真っ先にするべきことは、自分が求められているクオリティのレベルを理解することだ。そして、そこからさらに少しだけ、プラスアルファの要素を足す。そうすれば、相手から喜ばれるアウトプットの完成である。
仕事にはたいてい期限がある。人間は本来怠けものであり、期限のない仕事にはいつまでも取り掛からないものだ。だからこそ、自分で早めに期限を設定することが大事になる。まずはすべての仕事に期限を設定しよう。
とはいえ、期限を守れなければ結局意味がない。期限を守るためには、「初動」が絶対的に重要になる。仕事が発生したら、すぐに取り掛かることを信条としよう。「まとまった時間がとれたら」「もう少しじっくり考えてから」と考えているうちは、なかなかスタートがきれない。とにかく始めてみて、やりながら軌道修正すればよい。
仕事の段取りを組む際は、「1番時間のかかる作業は何か」を考え、「それを中心に順番を組み立てる」とよい。待ち時間が発生する作業があるなら、そっちから先に取り組み、待っている間にほかの作業をすれば、トータルでかかる時間も短くなる。
もしどうしても期限前に仕上がらない場合は、未確認事項や数字には仮の情報を入れておき、「要最終確認」などとしておけばひとまずの体裁は整う。あとは、追って情報を補完していけばよい。
それでも、さまざまな事情で期限に間に合わなかったときは、その後ずるずると遅れてしまわないよう、次の期限をすぐに決めて、必ずその期限を守るように心がけるべきである。そうでなければ信頼を失い、あなたの立場は悲惨なものになってしまうだろう。
仕事を速くするためには、日々のメモ、メール、パソコンでの資料づくりなど、ひとつひとつの作業のスピードアップが欠かせない。1つ1つ見ればわずかな時間の違いでも、積み重ねていけば大きな差となってあらわれてくる。
日々のメールは、なるべく時間をかけずに処理すべきである。文章はなるべく簡潔に、スクロールせず読める長さが基本だ。読んだメールは一度で処理しきるようにして、未着手のものを残さないようにする。自動振分けの活用や、宛先自動入力、ショートカットなど、メールソフトのテクニックをマスターしておけば、毎日のメール対応にかかる時間は格段に短くなるはずだ。
「資料を作ろうとするとき、まずパソコンに向かう」という人は要注意である。
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