仕事が速い人は「見えないところ」で何をしているのか?

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仕事が速い人は「見えないところ」で何をしているのか?
出版社
出版日
2016年05月18日
評点
総合
3.6
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

周りにいる「仕事の速い人」を見て、彼らのように仕事が速くできたらと思いつつ、どこかで諦めている――そんな人に、特に読んでもらいたい一冊である。

本書はその名のとおり、仕事が速い人が普段どのようなやり方で仕事に取り組んでいるのか、その「見えざるコツ」を顕在化させ、ノウハウとしてまとめたものだ。そのコツは多岐に渡る。いかに初動を速めるかといったところから、1つ1つの作業をスピードアップさせるテクニック、さらには解決策を導くための思考のフレームワークといった根本的なところまで、あらゆる角度から「速い仕事」をするための秘訣を明らかにしていく。

個人の仕事をスピードアップさせるための方法にくわえ、チームでの仕事を速くするための方策について述べられているのも素晴らしい。仕事のスピード感は一人ひとり違うものだが、それも踏まえてリーダーは全体をコントロールし、ゴールへと導いていかなければならない。そんなとき、どうすれば相手から速いレスポンスをもらえるか? そこにも「仕事が速い人」が実践しているコツがある。

物事を整理し、わかりやすく伝え、正確にインプット、アウトプットをする。そしてそれが結果的に、シャープで素早い問題解決を可能にする。本書で紹介されているのは、表層的なテクニックにとどまらない。本質的に仕事が「できる」社会人になるためにはどうすればいいのか、本書を読めばその答えがある。

著者

木部 智之(きべ ともゆき)
日本IBMシニア・プロジェクト・マネージャー。
横浜国立大学大学院環境情報学府工学研究科修了。2002年に日本IBMにシステム・エンジニアとして入社。入社3年目にしてプロジェクト・マネージャーを経験。
その後、2006年のプロジェクトでフィリピン人メンバーと一緒に仕事をする機会を得る。英語はもちろん、日本語も含めていくつもの言語を巧みに操り、かつ仕事も優秀な彼らに衝撃を受け、自分はグローバルに通用する人材なのかと自問自答をした。それ以来、いちビジネスパーソンとして世界中どこでも通用するスキルを身につけることを追求してきた。
2009年に役員のスタッフ職を経験し、2010年には最大級の大規模システム開発プロジェクトにアサインされ、中国の大連への赴任も経験。現在もそのプロジェクトを担当しており、日本と大連で数百人のチームをリードしている。プロジェクト内で自分のチームメンバーを育成するためにビジネススキル講座を始め、そのコンテンツは社内でも評判となった。
ブログ「外資系社員が実践している成果の出る仕事術」
http://vekitomo-0.hatenablog.jp/

本書の要点

  • 要点
    1
    仕事を速く終わらせるためには、確実性を高める必要がある。また、完成度が低くなっても、期限内にひとまず終わらせることを心がけよう。
  • 要点
    2
    資料を作る時は、いきなりパソコンに向かうのではなく、まず紙で作業するべきである。
  • 要点
    3
    チームでの仕事を速くするためには、「待ち時間」などの無駄をできるかぎり減らすことを意識する必要がある。
  • 要点
    4
    どうしても時間が足りないときは、環境を物理的に変えるなど、工夫をこらせばよい。「忙しい」ことを言い訳にしてはならない。
  • 要点
    5
    正しく情報をインプットし、アウトプットのためのフレームワークをいくつか用意しておけば、思考速度は自然と高まる。

要約

仕事が速いということの本当の意味

確実さも速さのうち
Tay Jnr/DigitalVision/Thinkstock

「仕事が速い」というのは、作業スピードが速いということだけを意味しない。無駄のない、確実な仕事をすることも、仕事を速く終わらせるために必要なことである。いくら速くても、雑にやってしまえば、結局やり直しになってしまう。多少遠まわりでも、確実に仕上げたほうが、結果的には速く終わる。

とはいえ、確実に仕事を終わらせることと、完璧をめざすこととは少し異なる。仕事では常に100%を求められるわけではない。例えば、取引先にプレゼンするための資料と、社内共有のためのメモレベルの資料に、同じクオリティを求める必要はない。

真っ先にするべきことは、自分が求められているクオリティのレベルを理解することだ。そして、そこからさらに少しだけ、プラスアルファの要素を足す。そうすれば、相手から喜ばれるアウトプットの完成である。

重要なのは「初動」と段取り

仕事にはたいてい期限がある。人間は本来怠けものであり、期限のない仕事にはいつまでも取り掛からないものだ。だからこそ、自分で早めに期限を設定することが大事になる。まずはすべての仕事に期限を設定しよう。

とはいえ、期限を守れなければ結局意味がない。期限を守るためには、「初動」が絶対的に重要になる。仕事が発生したら、すぐに取り掛かることを信条としよう。「まとまった時間がとれたら」「もう少しじっくり考えてから」と考えているうちは、なかなかスタートがきれない。とにかく始めてみて、やりながら軌道修正すればよい。

仕事の段取りを組む際は、「1番時間のかかる作業は何か」を考え、「それを中心に順番を組み立てる」とよい。待ち時間が発生する作業があるなら、そっちから先に取り組み、待っている間にほかの作業をすれば、トータルでかかる時間も短くなる。

もしどうしても期限前に仕上がらない場合は、未確認事項や数字には仮の情報を入れておき、「要最終確認」などとしておけばひとまずの体裁は整う。あとは、追って情報を補完していけばよい。

それでも、さまざまな事情で期限に間に合わなかったときは、その後ずるずると遅れてしまわないよう、次の期限をすぐに決めて、必ずその期限を守るように心がけるべきである。そうでなければ信頼を失い、あなたの立場は悲惨なものになってしまうだろう。

「チリツモ」で差がつく

メールに時間をかけるな
Kheng ho Toh/Hemera/Thinkstock

仕事を速くするためには、日々のメモ、メール、パソコンでの資料づくりなど、ひとつひとつの作業のスピードアップが欠かせない。1つ1つ見ればわずかな時間の違いでも、積み重ねていけば大きな差となってあらわれてくる。

日々のメールは、なるべく時間をかけずに処理すべきである。文章はなるべく簡潔に、スクロールせず読める長さが基本だ。読んだメールは一度で処理しきるようにして、未着手のものを残さないようにする。自動振分けの活用や、宛先自動入力、ショートカットなど、メールソフトのテクニックをマスターしておけば、毎日のメール対応にかかる時間は格段に短くなるはずだ。

パソコンよりも紙が先

「資料を作ろうとするとき、まずパソコンに向かう」という人は要注意である。

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要約公開日 2016.10.10
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