一人ひとり性格が違うように、人のコミュニケーションのとり方にもさまざまなものがある。1970年代、社会学者デイビッド・メリルらは、「自己主張のしかた」と「感情の表しかた」という2つの軸で、人々のコミュニケーションタイプを4つに大別した。
まず、自己主張が強く、感情の表しかたが弱いのは、人に指示されるのが嫌いで自分がリーダーシップをとりたがる「ドライビングタイプ(現実派)」である。
次に、自己主張が強く感情の表し方も強いのは、何でも楽しみ行動力があるが、一方で飽きたり忘れたりするのも早い「エクスプレッシブタイプ(感覚派)」だ。
「エミアブルタイプ(協調派)」は、自己主張が弱く感情の表し方が強いという特徴をもっており、優しくて気配りができるものの、決断力には欠けるところがある。
そして、自己主張も感情の表しかたも弱いのが、「アナリティカルタイプ(思考派)」だ。アナリティカルタイプの人は、コツコツと継続的に物事をマイペースに進めることが得意で、その反面、人付き合いはやや苦手な傾向がある。
これらのコミュニケーションタイプに良し悪しは存在しない。あくまで、よりよいコミュニケーションをするうえでの指標にすぎないと留意する必要がある。
もちろん、すべての人をきれいに分類できるわけではない。相手のタイプを決めつけて、「だからあの人とは合わない」など、切り捨てる材料にしてはならない。
「ドライビングタイプ」は、主張がはっきりしていて、「違う」と思ったことにはストレートに自分の意見を伝える傾向がある。また、誰かに指示されることを嫌うため、必要な情報を与えたうえで、相手の判断に委ねるようにすると、スムーズに話がまとまりやすい。自分の肩書や実績をさりげなく伝えたうえで、教えを請うというスタンスで接するのが効果的だろう。いったん敵でないと判断すれば、物事をしっかりと進めてくれるのがこのタイプである。
「エクスプレッシブタイプ」は、話しやすくノリが良い人たちだ。素晴らしいアイデアを生みだしてくれることも少なくないが、話し合いがいったん終わるとすべて忘れてしまい、実現しないことも多い。そのため、今後に向けて話をつなげたいのであれば、すぐに具体的な予定を入れ、関係が続くように調整する必要がある。「エクスプレッシブタイプ」は、人そのものに興味をもつことが多い。自分のキャラクターが伝わるようにコミュニケーションすれば、良好な関係を築くことができるはずだ。
「エミアブルタイプ」は、みんなのサポート役となる、いわゆる「いい人」である。嫌なことがあってもなかなか言えずに我慢しがちなので、気遣いを忘れないように心がけたい。「エミアブルタイプ」は、他者の役に立つことに喜びを感じるので、感謝の気持ちを言葉で伝えることが、いい関係を築くうえで重要になる。
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