本書は全6章構成である。1・2章で著者がこれまでの経験で培ってきた雑談のいろはを、3~5章で会話が広がる具体的な雑談のネタを、6章では特にビジネスシーンにおける粋なものの伝え方やフレーズを紹介している。特に6章は著者が経営者や会社役員のお客様へのヒアリングを通して構成したものであり、ビジネスパーソンには必見の内容である。それではまず、1・2章の雑談のいろはから見ていこう。
飛び込み営業をする際、パーティー等でネットワークを拡充する際、初対面で相手と打ち解けることができれば、それは大きな強みとなるに違いない。銀座のママの初対面における極意とはどのようなものであるか。
本書によれば、それは「相手の名前を言葉にすること」であるという。日本語の性質上、主語がなくても話が通じることが多いが、人は名前を呼ばれると無意識に親近感が湧くものである。
A「きみ、代わりに電話しておいてくれない?」
B「〇〇さん、代わりに電話しておいてくれない?」
AとBのどちらが頼まれて気分がいいかは一目瞭然だろう。著者がその重要性に気が付いたのは、18歳から勤めていたお店を辞め、次のお店に移った20歳のときであったという。次の店にも来てくれたお客様が、自分の名前を覚えていてくれたそうで、そのとき大きな喜びを感じたのだという。
はじめのうちは雑談が続くけれども、少し時間が経つとどうしても話に詰まってしまうことはないだろうか。著者もお客様の席についている間、ずっと話をしているわけではなく、途中でお互いがふっと数秒話さないということは実際よくあることだという。
著者はそのとき、あえてその「沈黙」を受け入れることをすすめている。もちろん、その時間が数十秒、数分と続くとその場の雰囲気は重たくなってしまうが、数秒から十秒ほどであれば全く問題ない。
話が続かなくなってしまったら、まずは開き直って数秒黙ってみる。そして、一呼吸置き肩の力を抜いた後で「何を話そう」ではなくて「何をたずねてみよう」と思いをめぐらしてみるのがよい。
次の予定があるのに雑談が続いてしまい、そのことを伝えられないまま結局遅れてしまった、という経験がある方は多いのではないだろうか。飲み会の席で隣の席の上司にも挨拶をしなければならない、パーティーで他の取引先のお客様とも挨拶しなければならない、そのようなケースは多分にある。
それでは銀座のママはどのように雑談を切り上げるのか。
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