0から1をつくる

まだないビジネスモデルの描き方
未読
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まだないビジネスモデルの描き方
未読
0から1をつくる
出版社
出版日
2016年06月21日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

社内での定期ミーティングで、企画立案に唸っている人は少なくないだろう。特にあなたがITの分野で働いている場合は、新規ビジネスの企画を立てる際、既存のビジネスへの解決方法とは違ったアプローチが求められる。そこで、新規ビジネスを成功させるには、スタートアップ企業が良い参考になると著者は言う。

本書では、新しいビジネスモデルを生み出す際に共通する取り組みを5つのステップに分け、具体的なアクションとともに、わかりやすく紹介していく。また、架空の製造業で働くチームメンバーの取り組みとともにステップが進行していくため、各ステップのポイントが頭に入りやすい。読者は本書を読むにつれ、自社で同僚と取り組む際に、何を心がけたらいいのかをありありと想像できるようになるだろう。

著者たちは、これまでさまざまなクライアントの課題解決に取り組んできた。そこでの経験に基づいた、実践的なノウハウが本書にちりばめられているため、その効果もお墨付きである。一人で実現できることは限られるが、メンバーを巻き込めば、期待以上の成果が生み出せる。

0から1をつくることは大変かもしれない。しかし、本書を参考に、メンバーと価値観を共有してアクションを起こせば、UberやAirbnbのように次世代を担うビジネスを生み出すことも、決して夢ではないだろう。

ライター画像
平賀妙子

著者

佐々木 哲也(ささき てつや)
1980年神奈川県生まれ。株式会社富士通総研 チーフシニアコンサルタント。2003年法政大学社会学部卒業後、富士通総研入社。企業におけるビジネスモデルデザイン、イノベーション推進組織開発などに従事。昨今ではハッカソン、リーンスタートアップなどのイノベーションプログラムや、セクターを越えたオープンイノベーションのプロデュースなどを手掛ける。社会の課題を発掘し共に解決に向けてチャレンジするプラットフォーム「あしたのコミュニティーラボ」編集部にも所属する。

黒木 昭博(くろき あきひろ)
1983年宮城県生まれ。株式会社富士通総研 シニアコンサルタント。上智大学大学院経済学研究科博士前期課程修了。修士(経営学)。2008年、富士通総研入社。主にメーカーに対するIT中期計画やテクノロジーを使った新規サービス開発のコンサルティングを手掛ける。企業と顧客が一体となって価値を生み出す「共創」を促進する手法の研究開発や実践にも取り組む。「明日のコミュニティーラボ」編集部にも所属する。

本書の要点

  • 要点
    1
    0からビジネスをつくる際、本質的な目的を意味するWhyを見つけることが重要である。
  • 要点
    2
    0から1を生み出すうえで共通するステップは、「暗黙の要望を理解する」「嬉しい5年後を描く」「問いを固める」「アイデアをカタチにする」「動かす環境を整える」という5つである。
  • 要点
    3
    課題を解決するための問いを固める際には、多様な可能性を探ることが求められる。
  • 要点
    4
    新規ビジネスの構築によって得た知見や経験を、社内外にオープンにしていき、共創の輪を広げていくことが大切だ。

要約

新規ビジネスに向けて

企画立案の手本となるスタートアップ企業

近年、ITを駆使した新規ビジネスの立ち上げが増えている。0からビジネスをつくる際は、基幹システムを対象とし、業務効率化やコスト削減を目的とする従来型のアプローチではうまくいかない。なぜなら、今後の新規ビジネスにおいては、Webシステムやスマートデバイスを活用するシステムが対象となり、企画の目的も収益の拡大となるためだ。

そこで新規ビジネスの企画立案で参考になるのが、ITを駆使したサービスを行うスタートアップ企業だ。ここからは、スタートアップ企業が企画する際に共通して行う、5つのステップを紹介していく。

暗黙の要望を理解する

1つ目のステップは、ユーザーが言葉で表現しきれない潜在的なニーズ、つまり「暗黙の要望」を把握する段階である。まずは、ユーザーが所属組織で大切にしていることや、コミュニケーションや判断のベースとなる「価値観」をあぶり出す。

そこで有用なのは、相手の回答内容に潜む、言語化できない本音を汲み取る、「デプスインタビュー」というインタビューの手法である。インタビューのテーマは、「現状」と「ありたい姿」という2つに大別される。相手が本音で話しているかを見極めるには、相手の表情に注目するとよい。また、気軽に話してもらえるよう、手ぶらでインタビューに臨むことを心がけたい。

本質的な目的、Whyを見つける
marekuliasz/iStock/Thinkstock

次に、インタビューなどを通して得たユーザーの情報をもとに、「暗黙の要望」を導いていく。具体的には、価値観にまつわる情報から共通項を見出して、ラベル分けをする。そして、ラベル同士の関係性を見出して、より大きな単位でくくるのである。そこから、ユーザーの課題や要望を推し量り、本質的な目的を意味するWhyを見つけていく。

0からビジネスをつくる場合は、企業や部署として、どうありたいかが重要となる。そこで、このWhyこそがユーザーや関係者を巻き込み、実現したい価値を考えるうえでの土台となってくれる。

嬉しい5年後を描く

変化の予兆を集め、関係づける

2つ目のステップは、実現させたい「嬉しい5年後」を描くというものである。まずは、考えるテーマを設定し、法規制や税制、人口動態などの社会情勢についての変化の予兆をチームで集めてみる。150〜300個ほど集まったら、直感的に気になる予兆にマークをつける。その後、模造紙にマークをつけた予兆を書き込み、書き込んだ理由を話し合いながら、関係のありそうな予兆を線でつないでいく。こうすれば、未来のシナリオが徐々に見え始める。

このステップで大事なのは、未来の可能性を最大限探ることである。そのうえで、描いたシナリオに対し、自分のとりたい行動を決めていくのだ。

問いを固める

当事者意識を醸成する
Creative-idea/iStock/Thinkstock

3つ目のステップは、「嬉しい5年後」にたどり着くために、どのように課題を解決していくのかを問う段階である。まずは仮の問いを設定することから始める。メンバーが重要だと思う課題を「問い」の形式にして挙げ、意見を交換する。「どうすれば〜?」などと質問形式にしたり、「私」、「私たち」を主語にしたりすることで、多様なアイデアが出やすくなる。

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要約公開日 2016.11.24
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