「太る」メカニズム。それを理解せずにダイエットに取り組んでも失敗するだけだ。ダイエット成功の一歩は科学的根拠を理解することから始まる。
まず、ダイエットとは空腹を我慢することではない。食べ物を摂取しなければ体重は落ちるが、継続できない。継続できなければリバウンドするだけだ。実は、ダイエットは少し間食するくらいの方が上手くいく。肉もOKだし、お酒も飲んでいい。これは科学的に当然の話なのだ。世の中の非科学的なサプリや情報に惑わされてはいけない。
それから、身体を太らせているのは「脳」であることを理解しなければならない。人に「炭水化物=糖質」を摂らせるのは脳なのだ。この脳を変えることは必要不可欠であり、そのための知識をもたない限り、ダイエットの成功はあり得ない。
本書では「なぜ太るのか」「なぜ痩せるのは難しいのか」「なぜリバウンドしてしまうのか」「なにをすれば痩せられるのか」「どうしたらリバウンドを避けられるのか」という5つの疑問に正確に答えられることを目指す。ここでは、1番目と2番目について紹介しよう。
まず、肥満の原因物質は糖質だ。マヨネーズやバターを食べ過ぎるから太るのではなく、糖質に偏った食生活が肥満を作る。ダイエットの敵は高カロリーなものや油ものではないのだ。太っている人は糖質を1日に300g以上摂るが、脂質やタンパク質は60g程度である。その偏り方は圧倒的であることがわかるだろう。
ごはん、パン、麺、イモ類などの炭水化物は全て糖質だ。炭水化物は「多糖類」と呼ばれ、消化・吸収の過程でブドウ糖に分解される。要するに、ごはんを食べることは砂糖を食べることに等しい。分解されたブドウ糖は小腸から血液中に吸収され、血糖値が上がる。その抑制のためにインスリンというホルモンが分泌され、ブドウ糖をグリコーゲンに変化させて肝臓や筋肉に蓄える。しかしその貯蓄量は100~200g程度までであり、余ったブドウ糖は脂肪となって脂肪細胞に取り込まれる。これが科学的に正しい肥満メカニズムだ。
ちなみに、脂肪を食べても太らないのは、脂肪の吸収効率は悪く、そもそも過剰にならないからである。
ダイエットに糖質制限が必要であるという知識は次第に広がっている。その上で、「ダイエットに失敗する原因は自分の意志の弱さであって、その気になれば糖質制限ができる」と考えている人が多い。この理解に留まる限りダイエットは成功しない。一時的に減量できてもリバウンドするだけだ。
糖質制限の難しさは「脳が糖質中毒に冒されている」という事実に気づいていないことにある。肥満症はいわば「糖質依存症」、つまり脳の病気なのだ。脳は人の行動を決定し、あらゆる指令を出す。いくら痩せたいと望んでも脳が糖質依存症であれば、糖質を摂るようにという強い指令が出てしまい、人はそれに従ってしまう。
糖質依存症は薬物やアルコールの中毒と同レベルで厄介なものであると理解しなくてはならない。
糖質制限効果を高めるためのルールは7つある。
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