「勉強のできる人」になるには、「自分の勉強法」の確立が必要である。「自分の勉強法」というレールがあれば、後はそれに乗るだけでゴールにたどり着ける。逆に、そのようなレールがなければ、「ほかの参考書が良かったのではないか」、「無駄なやり方をしているのではないか」など、さまざまな疑念が思い浮かび、時間を浪費してしまうだろう。
著者は小さいころから本を読む機会が多く、それが「読むこと」を中心とした勉強法を確立する基盤となった。著者は「読むこと」に特化した勉強法を確立できたからこそ、「東大主席」になれたのだ。
勉強法さえ確立すれば、勉強が楽しくなるというわけではない。勉強をしているなかで、知的好奇心が満たされ、知的な興奮を感じられる瞬間はわずかしかない。知識を学び、自分のものにするには反復と継続が求められる。ときにそれは退屈で苦痛ですらある。
ゆえに、勉強を継続するうえでは、動機づけとなる目的・目標を持つことが重要になる。目標という終わりがあるからこそ、勉強は継続できるのだ。
ただ、遠い先の目標ばかり追い求めてはいけない。たとえば、TOEICのような試験では、「次は600点」、「次は700点」と小さな目標を設定し、段階的にハードルを上げていくといいだろう。
小さな目標を達成するごとに、「成功体験」がうまれ、喜びとやる気が積み重なっていく。そうすることで、「自信」という基盤ができあがるのだ。
物事にチャレンジする際は、根拠はなくても「自分はできる」と思える「根拠なき自信」が必要である。
「根拠なき自信」はこれまでの成功体験からもたらされるものだ。「漢字テストで満点を取れた」、「前の学期よりも成績が伸びた」など、小さな成功体験をくりかえすことで、自信は雪だるま式に大きくなり、チャレンジするためのエネルギー源となる。
とはいえ、「自分はやればできる」と思うだけで挑戦しないのは問題である。「根拠なき自信」を、「証明された実績」に変えていかなければならない。
そのために意識すべきなのは、「ミクロな視点」でのネガティブ・シンキングと、「マクロな視点」でのポジティブ・シンキングをもつことである。自分の持っている、最終的な目標到達力には全幅の信頼を置きつつ、足下の具体的な課題に関しては、自分自身を疑ってかかるべきだ。このように、「根拠なき自信」を前向きな方向にコントロールしていくことが大切である。
実際の勉強法を確立するためには、自分に適したインプット方法を知るところから始めるといい。
人間には、(1)視覚刺激:目で見た情報を認知・記憶する、(2)聴覚刺激:耳から入る音を認知・記憶する、(3)行動刺激:人の作業や行動を観察し、模倣しながら学習するという、3つのインプット方法がある。ただ、机上の勉強をするほとんどの人にとっては、(1)視覚刺激に訴える勉強法が最も効果的だろう。
視覚刺激に特化した勉強方法として著者が実践してきたのが、「7回読み」勉強法である。これは、テキストを軽く流し読みする作業を7回くりかえすだけという、きわめてシンプルなものだ。しかし、だからこそのメリットがある。
第一のメリットは「疲れないこと」だ。「流し読み」に近いやり方なので、本を読んでいても疲労がたまらない。これは、勉強に苦手意識を持たないことにつながる。
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